ポリスラインを翔びこえて




 * * *





「おかえり、まこちゃん」

「ただいま、蒼羽家」


歌川くんからホムラマコト釈放の話を聞いた3日後、退院した私は約10日ぶりに家に帰った。

10日間毎日セイ兄が来てくれていたとはいえ、久しぶりの家の空気を肺いっぱいに吸い込むと心が安らいでゆく。


「あー、やっぱり自分のベッドが一番落ち着くわー」

「まこちゃんの荷物こっち置いとくよ」

「ありがと、セイ兄」


ママが洗ってくれていたらしいベッドのシーツは太陽の匂いがした。


「……まこちゃん、お願いがあるんだけど」

「んー?」

「その……、い、一回でいいから、あの……」

「え、なに…?」


珍しくもじもじするセイ兄に対して私はどんな反応をすればいいのか困る。

お願い?一回でいいお願いって?


「……抱きしめて、いい?」

「…………え」

「……」

「……」


えーっと。抱きしめていい?って何語だっけ。

セイ兄は耳まで紅くなって顔を背け手の甲で口元を隠す。

照れてる。
え、照れているセイ兄、激レア。
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