ポリスラインを翔びこえて
「お前を法廷に出すことは僕たちにとってもリスク。公判でどんな証拠が掘り起こされて明るみに出るかわからないからね」
「あんたらにも世に晒せない不都合な内情があると」
「それ以上は訊くな」
「残念」
「僕だって本当はお前を牢獄にぶち込みたかったが残念だ」
「……まあこれは独り言だけど」
「……」
「烏轟はアオちゃんに目をつけた。また危険に遭うかもしれない」
「……」
「俺はアオちゃんを守り抜くために」
「……」
「烏轟を滅亡させる」
邪魔すんなよ、とアオバセイの胸へ煙草を押し返してやる。
「でかい独り言だこと」
「ふ、よろしくセイ兄」
微笑みかけても一瞥をくれるだけの彼から離れて喫煙所を出る。
のどの痛みと不快だけが残った。
今の赫龍組には内通者が一人だけいる。
アオちゃんではない彼女も優秀な警察官だが、アオバセイが近くにいると非常にやりにくいだろうから。
忠告しておくに越したことはない。
うまくやってくれと願うばかりで、副流煙と自分の無力さが肺の奥をキリキリ痛めつけた。