ポリスラインを翔びこえて
*
俺が不在にした間、街は荒んでいた。
イタチごっこのように湧き上がる愚か者。
また一から潰しては湧き、倒しては起き上がる。
「大丈夫?」
「っ…!」
夜の繁華街の裏路地。
ひと気のない狭い道端に座り込む短髪の少女は怯えて身を隠すように縮こまる。
はだけた服から覗く腕や脚は所々殴られたような打撲や痛々しい赤みを帯びていた。
「リュウ、妹呼べるか」
「うっす」
リュウは向こうを向いて携帯を耳に当てる。
こういうときは男より女が対応したほうがいい。
「危害は加えないから安心して」
「っ、」
「誰にやられた?」
「……っ、黒い、ひと……」
「そいつのどこかに黒い羽のタトゥーあった?」
「あ、あった…、手首の、ここに……」
少女は震えながら自分の腕を出し手首の内側を指差す。
ああ、本当に卑劣なやつらだ。
「すぐに手当てできる女が来るから、もう少し待っててね」
「……あの、あなたは…、誰ですか…?」
「ホムラマコト。わるい人だから覚えなくていいよ」