ポリスラインを翔びこえて
ホムラマコト、と小声で繰り返した少女は俺の目を見て一瞬たじろぐも、ペコリとお辞儀をする。
「ありがとう、ございます……」
「礼を言われる立場じゃない。むしろごめんね、助けてやれなくて」
赫龍のシマでも平気で女や子ども、弱い人間たちを好き勝手使って傷つける下衆ども、それが烏轟組。
烏轟組の汚い手口や非情さに内部でも反対派がいるものの、抜けたら抜けたで恐ろしい報復を受けることになるから渋々居続ける輩もいるらしい。
「……あの、黒い人たち…、マコトって人、探してました……」
「え?」
「アオバマコトか?って、最初に聞かれたんです…」
「……そっか、確かに髪型が少し似てるかも」
「違うって言ったんですけど、その……、いいカラダしてるとか、き、気持ち悪いこと言われて……っうう…」
「もう話さなくていい、無理に思い出さないで」
しばらくして妹分の使用人が来て彼女を保護した。
俺たちはその場を後にして繁華街を見回る。