ポリスラインを翔びこえて




 * * *



5月の候、月のない夜。

潮は満ちた。

今宵、烏轟組を滅ぼすべく武器を持つ。


「見せてやる。赫龍の本気を」


烏轟組の屋敷前に集まる赤い軍衆。

赤いシャツ、赤いベルト、赤いネクタイ、赤い腕章、赤い帽子……味方だと判別する目印として身体の一部に赤をまとう。

対して待ち受けているのは黒い群れ。

暗闇の中に溶け込んでしまいそうな影は正確な人数を把握できないが、ざっと100はいそうな気配。

腐りかけた組織をカネと名誉で追い詰め、既に孤立したと言える烏轟に残っているものとは。

脅し、復讐、憎しみ、狂信心、洗脳……その辺りが彼らを支配しているのだろうか。

かわいそうなやつらだ。
そんな黒い感情から、早く解放してあげよう。



「さあ、終わらせよう」


その一言で、闇夜に響く金属打音。

一斉に門をぶち破り黒の中へ赤が流れ込んで行く。

その波に乗って奥へ、奥へと突き進む。

次々と伸びてくる黒い手を退けて前へ、前へ。

屋敷へ入る。

後ろにはまだ十分に味方がいる。

大量の足音と銃声、ぶつかり合う声、拳、血。

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