ポリスラインを翔びこえて
両手首は頭の上で拘束されて。
下半身にのしかかる体重で身動きができない。
影を落とす赤は、やはり美しい。
「ねえアオちゃん」
「っ、あ、蒼羽よ…」
「きみに拒否権はない」
「う……、」
首に彼の指が絡まる。
決して強くはないのに、苦しい。
「痛い?」
「……や、約束、ちがうっ……」
「怖くないの?しんじゃうかもよ」
「っ変なこと、しない、て……」
「ねえ、泣かないの?アオちゃんって涙ある?」
「……ほむら、くん……」
その顔はどうして、苦しそうなの?
何を欲しがっているの?
何の言葉を与えればいいの?
私は何をすれば、いいの?
「俺はわるい人?」
あなたは。
あなたはきっと……
「わるくない、ひと……」
きみの熱が首から上昇してゆく。
酸欠で頭がくらくらする。
まるで息ができなくなるほど濃厚なキスをされているみたいなふわふわした感覚。
溶けてゆく。
落ちてゆく。
苦しい、もう、だめ。
最後に交わった彼の眼差しは、
残虐的なやさしさを孕んでいた。