ポリスラインを翔びこえて
「まこちゃんはそのままでいい。僕を変えて。僕をお兄ちゃんだと思わなくていい。ここにいるのはホムラマコトだと思って」
「……え、」
「別に身代わりでいい。僕は僕じゃなくていい」
何を言ってるんだ、セイ兄は。
くるっと体の向きを変えて、彼を正面に見る。
眉目秀麗な顔立ちは至って真剣に私を見つめる。
「……じゃあ、炎くんだと思って抱きしめていいの?」
「いいよ」
「炎くんだと思ってキスしていいの?」
「いいよ」
「炎くんだと思って襲っていいの?」
「いいよ」
「炎くんだと思って脱がせていいの?」
「いいよ」
「炎くんだと思って食べていいの?」
「いいよ」
セイ兄の両肩に手をあててトン、と力を込めてみる。
抵抗なくそっと後ろに倒れる彼。
簡単に押し倒せて、それを覆うために動くと、静かな部屋にシーツの擦れる音だけが響く。
私の影を、彼に落とす。
「……炎くん、」
「うん?」