ポリスラインを翔びこえて
「アオちゃんって呼んで?」
「……アオちゃん、」
「……、」
消えそうで切ない、低い声。
そ、と首に手を添える。
炎くんがしてくれたみたいに、少しだけ力を込めてみる。
トク、トク、と脈が指を伝う。
「……」
「……」
潤った双眸をじっと見つめる。
まるで光に透かしたルビーの反射光みたいに輝く淡紅色の瞳──────
……には見えない。
いやうん。どっからどう見ても濃茶色で、どっからどうみても髪の薄いセイ兄じゃん。
「……ふふっ……ぜ、全然、違う……あはははっ」
「っ、」
ぱっと離れてベッドから下りる。
カシャ、とカーテンを開けてまぶしい光に目を細める。
「あー、やっぱ炎くんのほうがかっこいい!」
「え…」
「炎くんのほうが髪長い!」
「そ、そりゃそうじゃん…」
「炎くんのほうがキスうまい!」
「え、したことあんの?」
「ない!」
「なんだよ…」
「でもセイ兄は下手!」
「うっ、普通にショック…」