ポリスラインを翔びこえて
赤。
幽霊を見てしまったようで思わず息を呑んだ。
けれどその幽霊は小さく首を傾げて不思議そうに私を見たあと、目を細めて頬を緩ませてやさしく笑う。
「みつけた」
白い幽霊はしゃべった。
すると白い幽霊は揺れて、ゆっくり私に近づいてくる。
視界が遮られる。
ぎゅっ、と包み込まれる。
あたたかいぬくもりが私を支配する。
実体があって、触れることができて、冷たくなくて、半透明じゃなくて、宙に浮いた裸足じゃなくて。
生身の人間がいる。
息づかいが聴こえる。
鼓動が震えている。
血がかよっている。
そこにいるのは、たしかに、きみ。
「……ほむら、くん……?」
「悪い、ちょっと死んでた」
まるでちょっとお手洗いに行ってました、とでも言うように軽やかに。
「……な、んで、生きて……」
「アオちゃんに会いたくて」
「……私も、ずっとずっと、さがしてたんだよ……」
「遅くなってごめんね」
「会いたかった…っ、会いたかったよ、炎くんっ…」
「うん、俺もだよアオちゃん」