ポリスラインを翔びこえて
ううっ、と声にならない声をあげて、その大きな胸板の中で、ただただ泣き叫んだ。
なんで、どうして、そんな言葉を繰り返す。
だって私の知ってる炎くんは、目の前で撃たれて、いっぱい血を流して、炎に包まれて、死亡したってニュースで……。
とんとん、泣き叫ぶ赤ん坊をなだめるように優しくリズムを刻む手のひら。
しばらくのち、気持ちが落ち着いて。
「もしかして、おばけ…?」
「ううん、違うよ」
「ふたごの片割れ?」
「ううん、違うよ」
「ドッペルゲンガー?」
「それも違うよ、アオちゃん」
「ほ、ほんとうの、ホムラマコト?」
「うん、そうだよ、アオちゃん」
「…蒼羽よ」
「ふふ、大好きなアオちゃん」
「ほ、ほんものだあ……」
「かわいいね、アオちゃん」
きみの冷たい右手が私の左頬に添えられて、そっと親指が涙を拭う。
至近距離のきみの瞳は、麗しくやさしい赤色。
ふと目をそらした炎くんは右手を離してカサ、と何かを取り出して。