ポリスラインを翔びこえて

耳を澄ませば、ここのちょうど裏にあるクローゼットの方からブー、ブー、とバイブ音が壁越しに振動してる。

しばらくして止まったと思ったらすぐに震える。

……うわ、鬼電。これ絶対にやばいやつ。

今日は仕事休みなのに。こんなことするの一人しかいない。


「ふふ、セイ兄になんて説明しよっか」

「……幽霊と一線越えました、とか?」

「いいね、そーしよ」

「無理があるって」

「アオちゃんが言ったのに」

「蒼羽よ。はあ、ほんと過保護やめてほしい……」

「一緒に叫ぼ、俺がいるからあんた必要ないよって」

「うわ、めっちゃ取り乱しそう」

「ちょっとおもしろそう」

「え、やってみる?」

「ふふっ、わるい人だね俺たち」

「共犯ね、私たち」


そうしてすっかり興ざめてしまった私たちは腹いせに電話越しに叫んだ。

取り乱したセイ兄をひとしきり笑ってあげて、再び愛の旋律を奏でた。




……いやどんだけ元気。そろそろ寝ようよ。



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