ポリスラインを翔びこえて
コンクリートの壁に背を預けて地べたに片足だけ伸ばして座るその横顔に、買ってきたばかりのシャツを広げて差し出す。
フリーサイズだから着られなくはないと思うけど、無駄な肉のなさそうな少年の胴には少しゆとりがあるかも。
私を見上げた少年。
街灯が淡紅色の瞳に射し込む。
まるで光に透かしたルビーの反射光みたいに輝いて、
珍しいけど、綺麗な瞳だな、と思った。
「……なんで」
初めて口を開けば想像以上に低い声で、思ったよりも年上かもしれないことに気づく。
何でこんなことしているのかって目で見つめられる。
「うーん」
彼のそばにしゃがむ。目線は合わせない。
未成年に見えて保護しようとしたのが一番の理由だけど、どうやらその心配はなさそうで返答に悩む。
「……私がそうしたかったから」
昔からそうだった。
困っている人、手助けが必要そうな人、誰かの支えがほしい人、そんな人を見ると放っておけない体質。
育った環境がそうさせているかもしれないし、元来の性格かもしれない。