ポリスラインを翔びこえて
「……俺、弱くないよ」
「え?」
「昔は弱かったけど、今は違う」
彼を見るといつのまにか新しいシャツに着替え、音を立てずに立ち上がっていた。
そんな早業に驚く間もなくすっと手を差し伸べられ、反射的に掴んで立ち上がる。
冷たい手。大きくて硬いその手に、少し違和感を覚える。
「……ほんとだ」
ザラザラとした手のひら。タコやマメに触れ、同僚や上司と握手したときのような感覚になる。
それは間違いなく、強い人の手。
「ホムラ」
「え?」
「名前」
あんたは、と言いたそうに見下ろす彼の身長は私の顔一つ分より高い。
「私は……「マコト!」
突然の大声に思わずはい!と返事する。
するとホムラと名乗った彼も振り返る。
「ここにいたのか、探したぞマコト」
「え、私?」
「……なんだその女」
やってきたのは金髪の男。
ワインカラーのジャケットに黒シャツを着て、襟元や袖口から露出する肌に施された刺青が穏やかではない人柄を誇張する。
「……」
「あの、」