ポリスラインを翔びこえて
「いいか蒼羽ぁ、よく聞けー。現場は時に危険なこともある。絶対に俺から離れるな、勝手に動くな、指示に従え、いいな?」
「はい」
「もし現場で判断に迷ったら必ず俺に確認しろよ。何か気づいたこと、異変、何でもいいから逐一報告、な」
「わかりました」
署を出て車に乗り込む。
いよいよだ。
車内の独特な匂いが緊張感を高める。
ぎゅっとハンドルを握る。
「……字巡査長、」
「んー?」
「本当に今日、何かが起こるんでしょうか」
「知らねー」
「え、」
「だから確認しに行くんだろー?」
「そう、ですね…」
出発します、と言いかけたとき、字巡査長の携帯が鳴った。
振り向くと発進させておけ、と手を振りながら電話に出る字巡査長。
「……はい。……なにぃ?りょーかい、すぐ向かう」
通話を切る。途中から変わった声色に緊張が走る。
「何があったんですか?」
「一丁目通りで揉め事が始まった。そこに向かえ。蒼羽の見込みどーりだなー」
「……!」