ポリスラインを翔びこえて
「だがまだやつらの暴動と決まったわけじゃねぇ。暴力団全員が犯人と思うなよー。俺たちが見るのは肩書きじゃねぇ、誰が何をやったか、だからな」
「っ、はい」
フロントガラスの外、夜の街の明かりが流れていく。
初めての大きな現場。
しかも相手はこれまで資料の中でしか知らなかった暴力団。
「……字巡査長」
「んー?」
「私、ちゃんと役に立てますかね」
「さあな?」
「そこは“大丈夫だ”とか言ってくださいよ」
「くっくっくっ。あの蒼羽でも弱気になることがあんだなー」
「何ですか“あの”蒼羽って」
「さあなー」
はあ、と小さく息を吐いたとき。
再び字巡査長の携帯が鳴った。
「はい。……何人?……おーわかった。こっちでも確認する」
「字巡査長、今のって」
携帯をしまった字巡査長は、前を見たまま言った。
「どうやらただの揉め事じゃねぇらしい」
「っ、」
「気を引き締めろ」
「…はい」
遠くに赤色灯が見え始めた。
何台かの警察車両がすでに到着している。