ポリスラインを翔びこえて
その先にあるのは、いつもの夜の繁華街ではない。
「停めろ、降りるぞ」
「っ、はい!」
路肩に寄せてエンジンを切ったと同時に字巡査長は車から降りる。私も急いでその後を走る。
道路には倒れた看板、散乱するガラスの破片、変形したガードレール。
道端の人だかりは不安そうな表情がわずか、興味津々な表情がほとんど。
その好奇の目の先に、10人ほどの男たちが睨み合っていた。
「てめぇふざけんなよ!ああ!?」
「先に手ぇ出したのはそっちだろうが!」
「やんのかコラぁ」
「ああ来いよオラぁ」
想像していたような大乱闘ではないものの、いつもの賑やかな街の一角とはかけ離れていて。
荒ぶる男たちの怒声と野次馬の歓声、警察官の注意する叫び声。
「本当にやり合ってる……」
やつらは組員相手にやり合っているけれど、もしこちらに気づいたら。
マル暴の刑事に対しては一体どんな態度を取るんだろう。