ポリスラインを翔びこえて
殴りかかってきたり酒瓶を投げられたりするのだろうか。
だとしたら私は暴力団相手に戦えるのだろうか。
思わずぎゅっと自分の腕章を握る。
「絶対近づくなよー蒼羽ぁ」
字巡査長は何かを確認するように視線を動かしている。
どうしたんだろう。
「字巡査長?」
「妙だな」
「何がですか?」
「なあ蒼羽ぁ、確か情報では複数の組員が動いてるんだったよなー?」
「はい。……にしては人が少ないような」
「情報ではもっといるはずだよなー?」
「まだ来ていない可能性は」
「ない。さっきの電話でターゲットは全員アジトから出たんだとよー」
「そうですか……」
事態の把握が追いつかない。
ここで一体何が起きている?
「この類の暴動を何度か見てきたが、今回は何か妙だ。まあ今回は今回で考えるべきだろうが……」
言いかけて携帯が鳴った。
字巡査長は素早く出る。
「こちら字、現着したが想定外に人が少ねぇ。……ああ、現在の状況を──…」