ポリスラインを翔びこえて
*
翌日、出勤すると字巡査長は険しい顔で新聞を眺めていた。
「おはようございます、字巡査長」
「おう蒼羽ぁ、今日からさらに忙しくなりそうだなー」
「何かあったんですか?」
昨日の夜の暴動はあれから大きくならずに収束したはず。
パソコンを起動している間に昨日まとめた調査資料を引っ張りだし、ファイルを捲っていく。
「赫龍組の幹部が負傷したらしい」
「……え、ホムラマコトが?」
「いや、別の幹部だ。それで昨日ホムラが姿を見せたわけだ」
「ょ……、そうなんですね」
よかった…と口に出しそうになって噤む。
安堵してしまった自分に戸惑う。
まずい。暴力団に情はご法度。それはマル暴刑事の掟だ。
「それより問題なのはそれが記事になっているということだ。どういうことかわかるかー?蒼羽ぁ」
「えーっと、情報が広まって赫龍組の立場が危うい、というところでしょうか」