ポリスラインを翔びこえて
そんなことより今の状況が追いついていない。
頭の中が混乱する。

ホムラマコトはなんでまた血まみれなんだ。
なんでここにいるんだ。
あの群衆の中はどうなっているんだ。
火をつけたのは誰だ。事故か。故意なのか。
字巡査長は大丈夫なのか。
炎くんはどうして、名を呼ぶとそんなにうれしそうに笑うんだ。
ホムラマコトは極道の重要人物だけれど、ほんとうに悪で、わるい人なのか。
私は何を信じて何を正義だと思えばいいのか。


そんなごちゃごちゃな頭の中で、唯一。

たったひとつ理解できるのは、ホムラマコトは私を庇ったということ。


「あ……」


白シャツの左腹あたりが、薄い赤に染まっていた。
恐らくホムラマコトの服から付着したもの。

それはまるで、私のこころを染色している赤のようだった。



「蒼羽ぁ!」

「っ!」

「大丈夫か!?」

「字巡査長……、ああよかった、ご無事で」

「いやお前……ったく、なにやってんだ。車で待ってろっつったろ」

「いえ、車に戻れとしか」

< 56 / 274 >

この作品をシェア

pagetop