ポリスラインを翔びこえて

「あーもういいや。ほら行くぞ、立てるかー?」

「お構いなく」


サッと立ち上がる。
少し背中が痛むがせいぜい打撲程度だろう。

ホムラマコトの腕がクッションになっていたような気がする。

咄嗟にあんな機敏な動きができるなんて、噂どおり本当に圧倒的な戦闘力を持っているんだ。


……て、感心している場合じゃない。


「字巡査長、先ほどホムラマコトを目撃しました」

「ああ?どこにいた」

「ここです。話そうとしたら銃声が鳴って、それで……」

「それで?」


庇われました、とは言えなかった。

接触したことがバレたら、なんだか面倒なことになる予感がしたから。


「逃げられました。一丁目方面です」

「……そうか」


呟くように返事をした字巡査長は身を翻し車の方へ早足に歩く。

追いかけて運転席に乗り込み、キーを回してエンジンをかけた。


「蒼羽ぁ、あいつは逃げたんじゃねぇ」

「え?」

「銃声のあとこっち側に来てひと暴れした」

「ひと暴れ…?」

< 57 / 274 >

この作品をシェア

pagetop