ポリスラインを翔びこえて
【SIDE▶ホムラマコト】
ずっとさがしていたきみは、正反対の世界にいた。
けれど約束は、守ってくれた。
「ほんとうに戻ってきてくれたんだ」
店の前でぼうっと立っていた黒いショートヘア。
深々と帽子をかぶっていてもサングラスをかけていても、きみがアオちゃんだということくらい容易にわかる。
「ホムラマコト、話がしたい」
「……」
名を呼んでくれるのは嬉しいけれど、正直その呼び方は好きじゃない。
だから無視して通り過ぎようとしたけれど。
「待って、炎くん」
こっちの名を口ずさむ声は、とても甘い。
ねえアオちゃん、自覚してる?
「今日は休みだけど特別に開けてあげる」
「…どうも」
鍵を回してドアを開ける。
薄暗い店内は足下の常夜灯だけが頼り。
サングラスを外したアオちゃんは静かに俺の後ろをついてくる。
今日は付き人はいないから、冷蔵庫を漁って見つけたサイダーの瓶を2本取り出し奥の個室へ進む。