ポリスラインを翔びこえて
ふたりきり。ソファで1ヶ月前のように座る。
「はい」
「……受け取れないわ」
「そっか」
きみは警察官だから。
ヤクザからの盃なんて受け取ってしまえばお終い。
「今日ひとりなの?」
こくりと頷くアオちゃん。
帽子のつばがきみのかわいいお顔を隠してる。
「炎くん、きみが言った治安を維持してるって言葉、嘘じゃなかったんだね」
「なんでそう思うの?」
「赫龍組の幹部が負傷したニュースが流れた途端、街が荒れたの。特に暴力団が絡む検挙率が右肩上がり、店舗も休業が目立つようになったわ」
「……ふうん」
「赫龍組がある程度その抑止力になってたんだって思い知ったの。そういう意味で言ったんでしょう?」
「俺アオちゃんにはうそつかないよ」
「ふふ、嘘つかないって言う人ほど嘘つきって知ってる?」
弧を描く唇。
ほぼ衝動的、ぬるりと親指で真っ赤なルージュを拭う。
「……そうかもね?」
「もうっ、ばか」
そう言ってふいっと顔を振って睨みつける。
あー、やば、この子なんでこんなにかわいいの?
ずるい。意味わかんない。その上目遣い無意識?