ポリスラインを翔びこえて
「20年前の恨みを晴らすために抗争を仕掛ける予定だ、とかね」
「そんな嘘っぱちで署内は踊らされるのね…」
「そんな嘘っぱちに紛れて情報を抜きなよ」
「ぬ、拭えない罪悪感……」
アオちゃんにとって嘘は悪なんだ。
この世界では嘘も偽りも裏切りも騙し合いも平然と存在するのに、きみの世界はそうじゃない。
アオちゃんにはこんな世界、触れてほしくない。
けれどもう、俺のこころはアオちゃんに踏み込んでいる。
「ねえアオちゃん」
「蒼羽よ」
「俺たちは住む世界が違うよね」
「そうね。まるで正反対」
「俺はこの世界で、悪として生きるしかない」
「……悪、」
「アオちゃんはこの世界の正義」
「……正義、」
「そんな俺たちは交わるべきではないと思う?」
「……そういう、運命、かもしれない」
交わらない運命、か。
当然なのに、残酷で苦しい。
きっとどちらかが、どちらかの世界に入ったところで。
一緒の世界にいることができたところで。
息苦しくなる、だけ。