ポリスラインを翔びこえて
「ねえ、もし」
「…うん?」
「きみのことを一生帰したくないって言ったら」
「っ……」
「運命に逆らう気、ある?」
「うっ」
気がつけばきみの首にまわる指。
突き放したいのにできない。
きみを殺したくなるほどこの世界が息苦しい。
どうしても離れたくなくて、それならきみがここから去っていってほしい。
苦し紛れにせめてもの想いを指先に込めると。
トク、トク、と指先からきみの脈が伝わって震える。
力強い生を感じて、きみのすべてが正義にみえる。
「ねえ、こたえてよ」
「炎、くん……」
そう囁いたきみの細い腕は、腰にまわって抱きしめる。
両腕の関節から力が抜けてきみに沈んでゆく。
腰から上へ滑る手は背中を包んで熱を生む。
0センチの距離が、こんなにも愛おしい。
「アオちゃん、あったかい」
「炎くん、私、もう戻れないかもしれない」
「……」
「もう、私のこころは炎くんに染まっているの」
「……、」