ポリスラインを翔びこえて
Episode Ⅲ
* * *
「認めん!今すぐ別れなさい!」
パパの怒鳴り声が家中に轟く。
いやご近所じゅうに響いたかもしれない。
「そもそも付き合ってないし!」
「そういう問題ではない!暴力団なんかに情を持つな!」
向かいに座るママはさっきから一言も喋らない。
ただ膝の上で両手を固く握っている。
こうなったのは、遡ること1時間前──……
セイ兄が少し話をしたい、と部屋に来た。
今日は珍しく家族全員が休みの日。
その理由は単純、12月25日はクリスマス……とかぶって存在感が薄くなりがちな私の誕生日だから。
お昼に家族みんなで有名職人さんの握る高級お寿司を食べて満足し、帰宅後のんびりしていた頃だった。
ベッドを背もたれにしてローテーブルを前に肩を並べるセイ兄と私。
「最近うまくいってる?」
「ん、なにが?」
「この前言ってた好きな人の話だよ」
「あー、まあ、うん、どうだろ……」
まずい。初っ端からその話が来るとは思わなかったから動揺して目が泳ぐ。