ポリスラインを翔びこえて
「もしかしてうまくいってないの?」
「う、うーん、うまくいって…る、のかな」
「なんで疑問形なの」
「……、」
炎くんとはこころが通じ合っていると思う。
──『きみのことを一生帰したくないって言ったら』
──『運命に逆らう気、ある?』
──『アオちゃん、あったかい』
脳内でリピートされる炎くんの言葉。
抱きしめて感じた炎くんのあたたかさ。
けれど、超えてはいけない一線があることを、互いに察しているような気がする。
「まこちゃん、いま誰のこと考えてる?」
「っ、」
「……好きな人、誰か教えてくれる?」
「そ、それは秘密だよ」
「いつもは教えてくれるのに?」
「それは……私はもう大人だもん。今日で22歳になったんだから」
さすがに今回ばかりはセイ兄に言えるわけがない。
好きになった人が実はヤクザでした、なんて。
警察官が暴力団組織と関わること自体ご法度な世の中で。
色恋沙汰があるなんて、セイ兄どころか誰にも言えない。