ポリスラインを翔びこえて
彼の後ろにいた金髪の男も、振り返るやいなや眉をひそめる。
「……ポリ公か、面倒だな」
「こんな時間にこんな場所、健全な未成年が立ち入ってるのは良くないのよ。あなたも身分証、出して?」
俺はどっからどう見ても成人だろ、と文句を言いつつ胸ポケットからカードを取り出し差し出す。
確かに成人だった。ありがとう、と言ってカードを返しホムラマコトを見るけれど、無表情で私を見つめるだけ。
「あー、財布なくしたみたいで。俺はこの子の保護者なんで大丈夫だよな」
「そうもいかない事情が……あれ?」
先ほどまで向こうの地面に落ちていた血濡れのシャツが無くなっている。
…彼が処分した?いつのまに?それとも気づかぬうちに誰かが持って行ったの?
「じゃ、急いでるんで俺たち」
「あっ、でもさっき血が…」
「行くぞマコト」
引き止める理由がなくなってしまった私はどうすることもできず、ただ突っ立って見送ることしかできなかった。