ポリスラインを翔びこえて
ブウーーン、という大型車の重低音にかぶせて夜のオシゴト高収入♪という軽快な勧誘ソングが通り過ぎる。
耳障りな音楽で我に返る。
ふと裏路地を振り返ると、コンクリートの壁に沿って設置された室外機の片隅、鼠色のゴミ箱。
節穴だった。
中には血濡れたシャツが捨てられていた。
すでに彼らの姿は見えなくなっていた。
「……やるじゃん」
ふっと冷笑を吐き捨てて、私もその場を後にした。
一方、捨てた人物が、
「蒼羽 真……」
と警察手帳に記された氏名を呟いたことなど、私は知る由もない。