ポリスラインを翔びこえて
「厄介な相手を好きになったんだね」
「っ、」
…否定しなきゃ。
そう思うけど、こういうときに適当な嘘がつけない私の性格で、鋭いセイ兄をごまかすなんて無理がある。
「図星なんだ」
「……」
「まこちゃん、怖がらなくて大丈夫だよ」
「……セイ兄、」
「心配しないで、僕は誰にも言わないよ」
「……どうしよう、セイ兄……私、わたし、」
「うん、大丈夫だから」
す、と手が伸びてきて、ぽんぽん、と優しく頭を撫でる。
やってはいけないことをしてしまった子どもをあやすように。
大丈夫、大丈夫、大きな手がそう言っている。
不思議と心が落ち着いてくる。
動揺して震えていた指先が止まって、ゆっくり顔を上げる。
今度はちゃんと、セイ兄の顔を見ることができた。
「セイ兄……」
「落ち着いた?」
「うん……あのね、私、最初は知らなかったの」
「だろうね。正義感の強いまこちゃんが暴力団を選ぶわけないよね」