ポリスラインを翔びこえて
「まるで正義のヒーローみたいねぇ」
「そうなの。だから暴力団にいるとか関係なしに、ひとりの人間として、炎くんが好きなんだ」
ピクリとパパの拳が震えた。
恐ろしい剣幕で口を開く。
「っ……まこと!いい加減にしろ!」
「あなた」
パパの拳をぎゅっと包み込んだママは、ゆっくりとひとつ瞬きをして真っ直ぐに私を捉える。
「でもねまこちゃん」
「なに?」
「それは彼のほんの一面に過ぎないのよ」
「っ、」
「彼のいる世界は呼吸をするように嘘を吐いて、偽っても猫かぶりしても罪悪感なんて皆無、騙された者が負けの世界よ」
「……それはつまり、炎くんが私の前で嘘ついてるって意味?」
「さあ、どうだろう。まこちゃんが彼の何を見たのか、彼があなたにどんな顔をして何を言ったのかは私にはわからないわ。だけどね、暴力団が人を救ったところで、暴力団ではなくなるのかしら?」
「そ、れは……っ」