ポリスラインを翔びこえて
廊下に出ると全面ガラス張りの外側は大きな庭園になっている。
庭へ出られる出入り口へ向かいドアを開けたら、ひんやりした空気が足元から込み上がってきた。
靴箱から客用外履きを取り出して砂利に落とす。
先に出ていた歌川くんがこちらを振り返って言う。
「真さん足元気をつけてください、」
「あっ、どうも」
「……、」
「ん?」
無言で差し出された手。
見上げると顔を背けてほんのり頬を紅く染めた歌川くん。
つ、繋げってこと?
「……あ、ありがとう……」
そっと手に触れると、冷たい指先と温い手のひら。
ぎゅっと握りしめられた感覚がして、まろやかな肌を感じて、彼はきっと戦うことを知らないんだろうな、と思った。
砂利道から石畳に移動し、まだ芽吹いていない植物の列に沿って歩く。
足音だけが沈黙を破る。