意地悪なボイスアクターの危険な執着愛から逃れたい
「そうですよね、ごめんなさい」

「それだけ? 他にないの?」

「ごめんなさい」

「謝罪は聞いた」


他に何をすればいいのか、わからなかった。

当然、私が悪者だ。

それはわかっている。

(本当にごめんなさい。でも今は自分のことしか考えられないんです。ごめんなさい。あなたが一番、辛いのはわかるし、私が悪者なのは誰がみてもわかります。でも婚約してるなんて、知らなかったんです! 私だけが悪いんでしょうか? 及川さんには言わないの? 彼を責めるのが先じゃないの?)

本当は言いたい言葉を脳内だけで、まくしたて女性を初めてしっかりと見つめた。

次の瞬間、張り手が飛んできた。


「あんた、何なのよ!」


彼女は泣きながら叫んだ。


「ふざけんじゃないわよ!」


彼女の怒りがこれで1ミリでも解消されてほしいと願った。

及川さんに裏切られていたショックと2年目に突入した社会人生活の場でこんなことが起きていることに私は今にも倒れそうになっていた。

ふと及川さんが入って行った特別食堂の方を見上げた。

すると目線の先にさっと引っ込む人影を捉える。
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