意地悪なボイスアクターの危険な執着愛から逃れたい
ずぶ濡れの女が居なくなると、今度は及川の恋人と思われる女性が及川に掴みかかった。

那原はそれを横目に外に出た。

すると盛大にあの女が転倒するところが目に入った。

周りは誰も助け起こさない。

那原は修羅場の一部始終を見ていたわけではなかったが、食堂の一角だけがやけに水浸しになっていて、椅子も倒れている。

先程までそこで何が繰り広げられていたかは簡単に想像が出来た。

彼女が食事をしていただろう場所には仲間たちがいるのに、駆け寄りもしない。

女は立ち上がり、非常階段の方へ逃げていった。

しばらく見ていると、仲間達とおぼしき女達が何やらニヤニヤと話している。

すると彼女たちは楽しそうに非常階段に向かって行った。


(最高にクズな奴らだな)


那原は螺旋階段をゆっくりと降りて後を追った。

重い扉を開けて階段のところへ行くと頭上から女達の声がした。


「きっとトイレだよ。行こ!」


きゃっきゃと笑う声が聞こえた。
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