意地悪なボイスアクターの危険な執着愛から逃れたい
5章
トイレの個室に入ると次から次へと涙が込み上げてきた。
(辛い……)
すごく惨めだった。
私はポロポロ流れ出る涙を何度もトイレットペーパーで拭った。
泣きたくない。
あんなヤツの為に泣きたくないのに――
それでも涙は止まらなかった。
まさか結婚しているなんて考えもしなかった。
なんて私はバカなんだろう。
結婚しているか、どうかなんて最初に確認することではないか。
及川と初めて出会った時のことを思い出した。
「君さ、可愛いよね。俺のタイプなんだわ」
「そんなこと、初めて言われました」
「うそでしょ~。今度さ、食事いかない? 美味しい焼き肉、食べさせてあげる」
そう言われて始まった、及川さんとの最初の食事の日のことだった。
向かい合って食べるのかと思ったのに、及川さんは横に座った。
半個室になっているその部屋で及川さんは私の為に肉を焼いてくれて、食べさせてくれた。
「自分で食べれます」
「いいから、いいから。あーん」
小さく開けた口に及川さんがキスをした。
私は驚いて思わず及川さんの胸を押し返した。
「こ、これはどういうことですか?」
「説明いるかい?」
それからというもの、会うたびに甘い言葉を囁かれた。
こんなに私のことを好きになってくれる人は、今後、現れないかもしれない。
私はいつの間にか、そんなことを思うようになっていた。
そして何度目かの食事のあと、身体を許してしまったのだ。
完全に私の勘違いだった。
私は身体を支えられなくなり狭いトイレの壁に手をついて声を出して泣いた。
そういえば、付き合おうなんて言われてないじゃないか。
私は唇の皮が剥げるほど、ゴシゴシと拭いた。
いやだ、いやだ――
自分が本当に嫌――
(辛い……)
すごく惨めだった。
私はポロポロ流れ出る涙を何度もトイレットペーパーで拭った。
泣きたくない。
あんなヤツの為に泣きたくないのに――
それでも涙は止まらなかった。
まさか結婚しているなんて考えもしなかった。
なんて私はバカなんだろう。
結婚しているか、どうかなんて最初に確認することではないか。
及川と初めて出会った時のことを思い出した。
「君さ、可愛いよね。俺のタイプなんだわ」
「そんなこと、初めて言われました」
「うそでしょ~。今度さ、食事いかない? 美味しい焼き肉、食べさせてあげる」
そう言われて始まった、及川さんとの最初の食事の日のことだった。
向かい合って食べるのかと思ったのに、及川さんは横に座った。
半個室になっているその部屋で及川さんは私の為に肉を焼いてくれて、食べさせてくれた。
「自分で食べれます」
「いいから、いいから。あーん」
小さく開けた口に及川さんがキスをした。
私は驚いて思わず及川さんの胸を押し返した。
「こ、これはどういうことですか?」
「説明いるかい?」
それからというもの、会うたびに甘い言葉を囁かれた。
こんなに私のことを好きになってくれる人は、今後、現れないかもしれない。
私はいつの間にか、そんなことを思うようになっていた。
そして何度目かの食事のあと、身体を許してしまったのだ。
完全に私の勘違いだった。
私は身体を支えられなくなり狭いトイレの壁に手をついて声を出して泣いた。
そういえば、付き合おうなんて言われてないじゃないか。
私は唇の皮が剥げるほど、ゴシゴシと拭いた。
いやだ、いやだ――
自分が本当に嫌――