意地悪なボイスアクターの危険な執着愛から逃れたい
ドアの向こうから声が聞こえた。
すぐに、それが芽衣と蒼の声だとわかった。
(……なんで)
あのあと階段を駆け上がり、食堂より3階上まで来ていた。
節電のため電気が落とされていて、人の気配のないフロアだった。
だからここなら誰も来ないと思って、駆け込んだのだ。
次から次へと涙が溢れて、止められなかった。
とにかく1人になりたかった。
(なのに、なんでここに来るの? たまたま?)
同期たちにここにいることだけは、絶対に知られたくなかった。
どんな顔をして彼女たちと会えばいいのか、わからない。
息を殺し、気づかれないよう祈るような気持ちでじっとしていた。
幸い、個室の多いトイレだったからか、私がいることには気づいていないようだった。
けれど彼女たちは、用を足すでもなく、その場で話し始めた。
「さっきのビックリじゃない?」
「ほんと。やばい、あんなの初めて見た」
「てかさ、あいつの顔見た?」
「見た見た」
くすくすと笑う声が響いた。
(え……あいつって、私のこと?)
胸の奥が、すっと冷えていくのがわかった。
それなりに仲良くしているつもりだった。
まさか、影でそんな風に呼ばれていたなんて、思いもしなかった。
「エースだか、なんだかしらないけどざまぁって感じだったよね」
「わかる。入社式で挨拶とかしちゃってさ。新卒代表? なんかうちらのことバカにしてる感じで、あの時から嫌いだったんだよね」
(そんな……)
「しかもさ、清純ぶってさ。及川さんに取り入ったのもあいつの方でしょ、絶対」
「だよね。及川さんがそんなことするはずないし。あんなブス、本気で相手にするわけないじゃん」
手が震えた。
怒りよりも先に、恐怖が来た。
すぐに、それが芽衣と蒼の声だとわかった。
(……なんで)
あのあと階段を駆け上がり、食堂より3階上まで来ていた。
節電のため電気が落とされていて、人の気配のないフロアだった。
だからここなら誰も来ないと思って、駆け込んだのだ。
次から次へと涙が溢れて、止められなかった。
とにかく1人になりたかった。
(なのに、なんでここに来るの? たまたま?)
同期たちにここにいることだけは、絶対に知られたくなかった。
どんな顔をして彼女たちと会えばいいのか、わからない。
息を殺し、気づかれないよう祈るような気持ちでじっとしていた。
幸い、個室の多いトイレだったからか、私がいることには気づいていないようだった。
けれど彼女たちは、用を足すでもなく、その場で話し始めた。
「さっきのビックリじゃない?」
「ほんと。やばい、あんなの初めて見た」
「てかさ、あいつの顔見た?」
「見た見た」
くすくすと笑う声が響いた。
(え……あいつって、私のこと?)
胸の奥が、すっと冷えていくのがわかった。
それなりに仲良くしているつもりだった。
まさか、影でそんな風に呼ばれていたなんて、思いもしなかった。
「エースだか、なんだかしらないけどざまぁって感じだったよね」
「わかる。入社式で挨拶とかしちゃってさ。新卒代表? なんかうちらのことバカにしてる感じで、あの時から嫌いだったんだよね」
(そんな……)
「しかもさ、清純ぶってさ。及川さんに取り入ったのもあいつの方でしょ、絶対」
「だよね。及川さんがそんなことするはずないし。あんなブス、本気で相手にするわけないじゃん」
手が震えた。
怒りよりも先に、恐怖が来た。