意地悪なボイスアクターの危険な執着愛から逃れたい
「し、知らないですけど!」

「誰かいたんですか!?」

「へぇ~そうですか。それは失礼しました」


那原は、笑みを崩さないまま、静かに言葉を続けた。


「だとしたらすごいなぁ」

「何がですか?」

「一緒に食事をしていた友人が傷ついているかもしれない状況で、よくあれだけ楽しそうに話せるものだと思いましてね」

「な……変な言いがかりつけないでください!」

「もう、行こ」


那原は笑顔のまま静かに一礼し、女たちを見送った。

女たちは一瞬、何かを言い返そうとしたが、言葉にならなかったようで、そのまま逃げるように立ち去っていった。

その足音が完全に聞こえなくなった頃、トイレの奥から、微かに啜り泣く声が聞こえてきた。

那原は、しばらくその場に立ち尽くしていた。


「あんな男に騙されるのも、どうかとは思うが」


那原は、誰に聞かせるでもなくそう呟くと、静かにその場を後にした。
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