意地悪なボイスアクターの危険な執着愛から逃れたい

2章

数日後、私は朝から忙しい時間を過ごしていた。

働いているのは24時間空いているテレビ局内のライブラリー室。

職場は3階にあった。

3階ではあるが、周りから地下部署と言われている。

毎日、大量の本やビデオテープ、そして積み上げられたファイルに囲まれている。

日々増える莫大なデータをパソコンに分けて、それ以上にある紙の資料をファイリングしているのだ。

毎日のようにスタッフが資料を探しに出入りする。

過去の映像だったり、ヘリコプターからの空撮映像など。

演出通りの必要な映像を主にADたちが探す。

番組内で少しだけ使用する際、わざわざ撮影せずに済む。

それはこのライブラリーから持ち出し使用するからだ。

私の仕事は映像を必要としている人たちが検索しやすいようにデータ化することだ。

データ入力の手を止めた時、内線電話が鳴り、すぐさま取った。


「はい。ライブラリー室。はい、はい。え? ちょっと待ってください。もしもし? もしもし?」


一方的な指示のあと電話が切られた。


「どうした?」


少々、ムッとしていると声をかけてきてくれたのは、同じ部署の長野桃美(ながのももみ)さん。

私より5歳年上で配属時から何かと世話を焼いてくれる私にとって信頼できる優しい先輩だ。


「資料を指定されて、それをスタジオに持ってきてほしいと」

「またぁ? どうせ、報道でしょ?」

「はい。過去の台風の映像だそうです。いくつかピックアップしてって」

「わかった。一緒に探す。30本くらいあれば、いいっしょ」

「ありがとうございます」


ピックアップした映像をUSBメモリに入れて、スタジオまで持って行くことになった。


「行ってきます」

「よろしくね」
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