意地悪なボイスアクターの危険な執着愛から逃れたい
「ねぇ、なんでだと思うの?」

「……」

「答えてよ」


低い声が、耳のすぐそばで響いた。


「君は、俺のこと、どこまで知ってるの?」


その問いに、心臓が跳ねた。


「し、知りません、そんな、全然。あなたのことなんて!」


声が、明らかに上ずっていた。

嘘だと、自分でもわかるくらいに。

彼は、そんな私の様子を見て、口の端をゆっくりと持ち上げた。


「へえ」


彼は、私の頬にかかった髪を、指先でそっとよけた。

指先が、頬に一瞬だけ触れる。

たったそれだけのことなのに、身体中の血液が、そこに集まっていくような感覚がした。


「……っ」


息を、うまく吸えなかった。

彼は、そんな私を、ただじっと見つめている。

その目には、獲物を追い詰めた者だけが持つ、静かな愉悦が浮かんでいた。
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