意地悪なボイスアクターの危険な執着愛から逃れたい

3章

ランチで桃美さんと外に出ていい感じの和定食屋さんを見つけて入った。


「紗枝ちゃん、はい」


注文を済ませると桃美さんが小さな紙袋を差し出してきた。


「何ですか、これ」

「開けてみて」


言われるがまま袋を開けると、中から出てきたのは、アクリルキーホルダーだった。

そこに描かれているのは、私の愛してやまないリーガル様。


「わぁ!」


感動して声が漏れる。


「この前、駅前のアニメショップに行ってね。そしたらアニメ化されるからか新作グッズが並んでてさ」

「そんな、桃美さん! いいんですか」


グッズが昨日から出ているのは知っていた。

でも何だか気持ち的に買いに行く気分ではなかったのだ。

あの日から1週間が経っていた。


「いいのいいの。紗枝ちゃんの笑顔、見たかっただけだから」


桃美さんは、そう言って、いたずらっぽく笑った。

私はキーホルダーを両手でそっと持ち上げて、まじまじと眺めた。

アクリル板が蛍光灯の光を受けて、きらきらと反射する。


「大事にします……本当に、ありがとうございます」

「そんな、たかがキーホルダーで大袈裟ねぇ」

「たかがじゃないですよ! 推しグッズは全部、宝物なんです! それに……」

「ん?」

「桃美さんがくれたことが嬉しくて」

「そんなに?」

「こういうの誰かにプレゼントされたの初めてで」

「ここまで喜んでくれて買ってきた甲斐があった」

「本当にありがとうございます」


私はもう一度、キーホルダーを撫でた。
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