意地悪なボイスアクターの危険な執着愛から逃れたい
ゆっくりと振り返ると、そこには、あの日と変わらない、余裕のある笑みを浮かべた彼が立っていた。


「な、なんで、また」

「今日は別の仕事で呼ばれて」


彼は、そう言うと、私との距離をゆっくりと詰めてきた。


「この前の続き、まだ聞いてなかったよね」

「続き……?」

「俺のこと、どこまで知ってるのか、って話」


その一言に全身の血が一気に冷えた。

あの夜の記憶が、まざまざと蘇ってくる。

頬に触れた指先。

耳元で囁かれた声。


「今度こそ、ちゃんと答えてもらうから」


あの時の予告が、今、目の前で現実になろうとしていた。


「わ、私、そろそろ戻らないと」


そう言って、逃げるように一歩下がったけれど、彼は、それを見越していたように、私の腕を、そっと掴んだ。


「まだ、話終わってないよ」


その声は、笑っているのに、有無を言わせない響きを持っていた。


「今日、何時に終わる?」

「なんで」

「駐車場で待ってる」

「行きません!」

「待ってるよ」


それだけ言うと彼はひらひらと手を振って立ち去った。
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