意地悪なボイスアクターの危険な執着愛から逃れたい
「離して」
彼の手はまだ、私の手首のあたりに残っていた。
「なんで、こんなことするんですか」
声が、思ったより大きく出た。
私が本気で怒っていることをわかっていないのか、彼は笑っていた。
「キスしたくなったから」
「あ、あなたは! キスしたいと思ったら、どこでもいきなり女性にキスをするんですか!」
彼の手を振りほどいた。
「いや、こんなことキミが初めてだよ、嫌だった?」
「……嫌に決まってるじゃないですか!」
嫌じゃなかった。
それがすごく嫌だった。
「嫌だったか」
「当たり前です! 私、あなたのこと、名前もしらないのに!」
「那原」
「え?」
「那原圭一」
あっさりと名前を教えてくれたことに驚く。
「キミは鈴木紗枝でしょ?」
「なんで!?」
「知ってるか?」
「あなたの方がストーカーじゃないですか!」
私がそういうと那原さんはクスクスと笑う。
「笑い事じゃないです!」
那原さんはまったく悪びれた様子もなく笑いを収めなかった。
「じゃあ私はこれで」
「待って」
再び腕を掴まれた。
「ここで帰られると気になっちゃう」
「気にしないでください」
「キスしたのに?」
顔がかっと熱くなった。
「あれは事故ということにします」
「訴えたりしないの?」
「訴えません」
「優しいね」
(だって嫌じゃなかったから)
「私だってあなたに迷惑をかけたので」
「迷惑?」
「あなたのスタジオに行って……その……」
「やっぱり、俺に会いに来てくれたんだ?」
(しまった!)
彼の手はまだ、私の手首のあたりに残っていた。
「なんで、こんなことするんですか」
声が、思ったより大きく出た。
私が本気で怒っていることをわかっていないのか、彼は笑っていた。
「キスしたくなったから」
「あ、あなたは! キスしたいと思ったら、どこでもいきなり女性にキスをするんですか!」
彼の手を振りほどいた。
「いや、こんなことキミが初めてだよ、嫌だった?」
「……嫌に決まってるじゃないですか!」
嫌じゃなかった。
それがすごく嫌だった。
「嫌だったか」
「当たり前です! 私、あなたのこと、名前もしらないのに!」
「那原」
「え?」
「那原圭一」
あっさりと名前を教えてくれたことに驚く。
「キミは鈴木紗枝でしょ?」
「なんで!?」
「知ってるか?」
「あなたの方がストーカーじゃないですか!」
私がそういうと那原さんはクスクスと笑う。
「笑い事じゃないです!」
那原さんはまったく悪びれた様子もなく笑いを収めなかった。
「じゃあ私はこれで」
「待って」
再び腕を掴まれた。
「ここで帰られると気になっちゃう」
「気にしないでください」
「キスしたのに?」
顔がかっと熱くなった。
「あれは事故ということにします」
「訴えたりしないの?」
「訴えません」
「優しいね」
(だって嫌じゃなかったから)
「私だってあなたに迷惑をかけたので」
「迷惑?」
「あなたのスタジオに行って……その……」
「やっぱり、俺に会いに来てくれたんだ?」
(しまった!)