意地悪なボイスアクターの危険な執着愛から逃れたい
そう言われて、この人はリーガル様の声優ではないのかと淡い期待をした。


「……返してください」

「嫌だ」

「どうしてですか」

「面白いから」

「面白くないです!」


那原さんは、がま口財布を指先で揺らしていた。


「リーガルだよね、これ」


目を見張った。

その瞬間、にやりと笑う彼の表情を見た。


「ずいぶん大事にしてるんだな」

「ファ、ファンなので」

「へえ」


那原さんが一歩近づいた。

私は全身が石になったように固まった。


「そんなに好き?」

「……」


私が黙っているとふっと鼻で笑われる。


「とりあえず、場所を変えない?」

「え?」


那原さんは周りに視線を向ける。


「このまま、ここにいたらまずいんじゃない?」

「それは……」


すると那原さんは私の手首を掴んだ。


「行こう」
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