推しの声がメロすぎて困ってます
「あ〜、やっと昼休みだ〜」

後ろの席のゆあが、大きく伸びをしながら嬉しそうに言った。

「てかさ、聞いてよ」

瀬那が弁当箱を開けながら、梨央奈とゆあに話しかける。

「この前さ、瑠奈と一緒に帰ってたら、チャラい三人組に絡まれたんよ」

「さすが瑠奈」

ゆあは「またか」と言わんばかりに笑う。

「で、そのうちの一人が、瑠奈のスクバについてる湊様のキーホルダーをバカにしたわけ」

「え、それで?」

梨央奈が身を乗り出す。

「そしたら瑠奈がさ、『人の好きなものバカにすんな』って睨みつけたの。三人とも一瞬でビビっちゃって、そのまま逃げてったんだよ!」

その日のことは、私もよく覚えている。

「だって、人の好きなものをバカにするなんて最低じゃん」

「いや〜、さすが瑠奈だわ」

梨央奈が感心したように頷く。

「ね〜」

ゆあも笑いながら相づちを打つ。

「ちょっと待って。私のイメージって、どんな感じなわけ?」

三人は顔を見合わせる。

「思ったことをすぐ口にする」

「あと、推しのことになると誰にも止められない」

「めっちゃ一途」

「えぇ!? そんなことないって!」

 教室に笑い声が響く。

そんな他愛のない会話を楽しみながら、私たちは短い昼休みを過ごした。
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