幻の眷属
あれから毎日、小春とこの白い部屋で過ごした。
あの『友人を殺す』と脅してから、帰りたいと言わなくなった。
可哀想に…。
アイツらは自分の命欲しさにお前を差し出したというのに…。
お前は自分を犠牲にしてここに居続けている…。
小春とのまぐあいは、想像を絶するくらい気持ち良くて、毎日、毎日、求めてしまう。
本当は、身体をゆっくり休めてあげたいのに、小春に触れたくて仕方ない。
一時も離れたくない。
少し触れるだけで、蕩けきった顔を俺に向ける。
その顔を見るだけで、もう止められなくなる。
そして小春に無理をさせてしまい、後で後悔している。
だから、その後は食事も湯浴みも徹底的に甘やかしている。
まぁ、それも蕩けるような顔をするから、俺はまた我慢できずに小春を求めてしまうのだが…。
そんな日が続いて、俺は毎日幸せだった。
小春と一緒にいて、幸せを感じている。
でも日に日に小春から笑顔が消えていく。
身体が火照り、俺を求めてくれてはいるが、飯を食ってても笑顔はない。
ただ、義務で食べている感じだ。
目も虚…。
どうしたらお前のあの最初にここに来た時の花火を見た笑顔を見られる?
俺が友人を殺すと脅したから?
理由がわからず、俺は堪らず小春に聞いた。
「小春、最近、元気が無いな…。俺はお前を抱き人形にした覚えは無い。何が望みだ?」
「しゅてんさんは…いつもこの何も無い所で過ごしているんですか?」
何もない部屋。
そうか…。
確かにこの窓もなく、本当に何も無い白の壁しかない部屋なら、心が蝕んでいくのも当然だ。
「そういう事か…そうだな…。確かにここは殺風景過ぎる…。すまなかった。すぐにここを出よう。」
俺は小春を抱き上げ外に出た。
「酒呑童子様、いけません。まだその人間は鬼になっておりませぬ。」
すると、部屋の外で待機している青鬼の青が、驚いた顔で止めに入った。
当然だ。
本来、子を孕めるように身体が変わらない限り外には出てはいけないのだから。
だから、薬を使って女の頭をおかしくさせるのだが、小春にそんな事させないし、したくない。
「良い。このままだと小春の心が壊れる。俺の部屋に移動する。」
小春の心を壊すなんて出来ない。
「しかし…。」
「早くしろ。」
俺が睨むと、ピクッと身体を震わせた青が一礼をした。
「か、かしこまりました。」
小春を抱き上げたまま廊下を歩くと、他の鬼達が俺達を見て驚いた。
見たこともない女を俺が連れている事、そして、俺が女を抱き上げている事に驚いているのだろう。
いつも女を攫って来る時は、担ぐように攫って来る。
こんな丁寧に俺が女を抱き上げている所なんて見た事ないからだ。
部屋の前に着くと、青が部屋の前に正座して待っていた。
青は小春を見て一瞬、息を飲んだ。
その一瞬の違和感を見逃した事の後悔を俺は後で知る事になるのだが、この時は、小春を俺の部屋に連れて行く事で頭がいっぱいだった。
「お父上に報告させていただきます。」
「好きにしろ。」
『お父上』は隠語で、長の事を指す。
昔、人間や他の種族に襲われる時も長である酒呑童子を守る為、影武者をするのは次の酒呑童子の役目だからだ。
まぁ今の時代、人間に村を襲われる事は、ほぼ無いが…。
これも平和ボケか?
数百年に一度、他の種族が襲って来る事はあるが…。
部屋に入ると、綺麗に整えた庭園が現れる。
そこを見て小春の目が輝いた。
その顔を見ると、俺は安心した。
「多分、他の部屋も気に入るよ。」
俺は小春の頭に唇を付けて耳元で囁いた。
案の定、春の間、夏の間、秋の間、冬の間どの部屋も気に入ってくれたようだった。
小春は笑顔を取り戻した。
今日は春の間に連れて行き、ここに咲く花で作った酒を小春に振る舞った。
小春は桜を眺め俺にも笑顔を向けてくれた。
心臓を鷲掴みされたかと思うほどぎゅっと苦しくなる。
そして、側にいるのが嬉しいのだ。
触れていたい…。
俺の事、もっと見て欲しい…。
俺は、それから、他の部屋でも、小春と繋がった。
俺の気持ちが伝わったのか、小春は俺が好きと伝えると好きと返してくれるようになった。
俺の心は満たされて、幸せの中にいた。
「小春…好きだよ…。好き…。大好き…。もう、お前がいないと生きていけない…。重いと思うか?」
「私も酒呑さんが好きです。大好きです。こんなにも私を好きでいてくれて、大事にしてくれてありがとうございます。重くなんてありません。」
「口付けをしよう…。んっ…っ。はぁ…っ。好き…っ。愛してる…っ。俺を受け入れて…?」
「はい…。んっ。あっ。はっ。んぅっ。私も愛しています…っ。愛してる…っ。」
お互い服を脱ぎ合いお互いを求め合った。
こんな幸せが毎日続き、千年と数百年探してやっと手に入れた幸せ。
おじいの言った通り、心も身体も満たされている。
ただ一つ除いては…。
そう…。
鬼の姿の俺を受け入れてもらえるかは別の話だ。
早く俺のものにして、孕ませたいのに、孕ませられない。
鬼の姿の俺を受け入れてもらえて、初めて孕める身体に変わるのだ。
四季の部屋で、綺麗な景色の中、小春を抱くのは格別だった。
美しい景色に小春の肌が映えて美しい。
小春は庭でするのが好きなようだった。
恥ずかしいと可愛い素振りを見せて、俺に身体を開いた。
もう何も考えられない。
俺は小春に夢中だった。
このまま鬼の姿を晒さず、子をなせなくても2人で居られればそれで良いと思うようになった。
そんな時…。
小春の友人…あの隠れ鬼がまた社に来たのだ。
俺は、小春に口付けをして、小春から離れて、小春には教えていない下界に繋がる廊下に出た。
もう、部屋に戻って小春を抱きしめたい気持ちを抑えて、廊下を進んだ。
社の入り口から出ると小春の友人の男が社の戸を叩いていた。
「うるさい。」
「っ!小春を返せよ!」
「返せ?くくっ。お前はふざけているのか?お前らが、自分らの命欲しさに小春を俺に差し出したんじゃないか。それを今更返せと?元々お前らが社を壊したのが原因ではないのか?」
「っ!そ、そうだけど…。今は、後悔してるんだ!小春をお前に差し出してしまった事…。」
あの『友人を殺す』と脅してから、帰りたいと言わなくなった。
可哀想に…。
アイツらは自分の命欲しさにお前を差し出したというのに…。
お前は自分を犠牲にしてここに居続けている…。
小春とのまぐあいは、想像を絶するくらい気持ち良くて、毎日、毎日、求めてしまう。
本当は、身体をゆっくり休めてあげたいのに、小春に触れたくて仕方ない。
一時も離れたくない。
少し触れるだけで、蕩けきった顔を俺に向ける。
その顔を見るだけで、もう止められなくなる。
そして小春に無理をさせてしまい、後で後悔している。
だから、その後は食事も湯浴みも徹底的に甘やかしている。
まぁ、それも蕩けるような顔をするから、俺はまた我慢できずに小春を求めてしまうのだが…。
そんな日が続いて、俺は毎日幸せだった。
小春と一緒にいて、幸せを感じている。
でも日に日に小春から笑顔が消えていく。
身体が火照り、俺を求めてくれてはいるが、飯を食ってても笑顔はない。
ただ、義務で食べている感じだ。
目も虚…。
どうしたらお前のあの最初にここに来た時の花火を見た笑顔を見られる?
俺が友人を殺すと脅したから?
理由がわからず、俺は堪らず小春に聞いた。
「小春、最近、元気が無いな…。俺はお前を抱き人形にした覚えは無い。何が望みだ?」
「しゅてんさんは…いつもこの何も無い所で過ごしているんですか?」
何もない部屋。
そうか…。
確かにこの窓もなく、本当に何も無い白の壁しかない部屋なら、心が蝕んでいくのも当然だ。
「そういう事か…そうだな…。確かにここは殺風景過ぎる…。すまなかった。すぐにここを出よう。」
俺は小春を抱き上げ外に出た。
「酒呑童子様、いけません。まだその人間は鬼になっておりませぬ。」
すると、部屋の外で待機している青鬼の青が、驚いた顔で止めに入った。
当然だ。
本来、子を孕めるように身体が変わらない限り外には出てはいけないのだから。
だから、薬を使って女の頭をおかしくさせるのだが、小春にそんな事させないし、したくない。
「良い。このままだと小春の心が壊れる。俺の部屋に移動する。」
小春の心を壊すなんて出来ない。
「しかし…。」
「早くしろ。」
俺が睨むと、ピクッと身体を震わせた青が一礼をした。
「か、かしこまりました。」
小春を抱き上げたまま廊下を歩くと、他の鬼達が俺達を見て驚いた。
見たこともない女を俺が連れている事、そして、俺が女を抱き上げている事に驚いているのだろう。
いつも女を攫って来る時は、担ぐように攫って来る。
こんな丁寧に俺が女を抱き上げている所なんて見た事ないからだ。
部屋の前に着くと、青が部屋の前に正座して待っていた。
青は小春を見て一瞬、息を飲んだ。
その一瞬の違和感を見逃した事の後悔を俺は後で知る事になるのだが、この時は、小春を俺の部屋に連れて行く事で頭がいっぱいだった。
「お父上に報告させていただきます。」
「好きにしろ。」
『お父上』は隠語で、長の事を指す。
昔、人間や他の種族に襲われる時も長である酒呑童子を守る為、影武者をするのは次の酒呑童子の役目だからだ。
まぁ今の時代、人間に村を襲われる事は、ほぼ無いが…。
これも平和ボケか?
数百年に一度、他の種族が襲って来る事はあるが…。
部屋に入ると、綺麗に整えた庭園が現れる。
そこを見て小春の目が輝いた。
その顔を見ると、俺は安心した。
「多分、他の部屋も気に入るよ。」
俺は小春の頭に唇を付けて耳元で囁いた。
案の定、春の間、夏の間、秋の間、冬の間どの部屋も気に入ってくれたようだった。
小春は笑顔を取り戻した。
今日は春の間に連れて行き、ここに咲く花で作った酒を小春に振る舞った。
小春は桜を眺め俺にも笑顔を向けてくれた。
心臓を鷲掴みされたかと思うほどぎゅっと苦しくなる。
そして、側にいるのが嬉しいのだ。
触れていたい…。
俺の事、もっと見て欲しい…。
俺は、それから、他の部屋でも、小春と繋がった。
俺の気持ちが伝わったのか、小春は俺が好きと伝えると好きと返してくれるようになった。
俺の心は満たされて、幸せの中にいた。
「小春…好きだよ…。好き…。大好き…。もう、お前がいないと生きていけない…。重いと思うか?」
「私も酒呑さんが好きです。大好きです。こんなにも私を好きでいてくれて、大事にしてくれてありがとうございます。重くなんてありません。」
「口付けをしよう…。んっ…っ。はぁ…っ。好き…っ。愛してる…っ。俺を受け入れて…?」
「はい…。んっ。あっ。はっ。んぅっ。私も愛しています…っ。愛してる…っ。」
お互い服を脱ぎ合いお互いを求め合った。
こんな幸せが毎日続き、千年と数百年探してやっと手に入れた幸せ。
おじいの言った通り、心も身体も満たされている。
ただ一つ除いては…。
そう…。
鬼の姿の俺を受け入れてもらえるかは別の話だ。
早く俺のものにして、孕ませたいのに、孕ませられない。
鬼の姿の俺を受け入れてもらえて、初めて孕める身体に変わるのだ。
四季の部屋で、綺麗な景色の中、小春を抱くのは格別だった。
美しい景色に小春の肌が映えて美しい。
小春は庭でするのが好きなようだった。
恥ずかしいと可愛い素振りを見せて、俺に身体を開いた。
もう何も考えられない。
俺は小春に夢中だった。
このまま鬼の姿を晒さず、子をなせなくても2人で居られればそれで良いと思うようになった。
そんな時…。
小春の友人…あの隠れ鬼がまた社に来たのだ。
俺は、小春に口付けをして、小春から離れて、小春には教えていない下界に繋がる廊下に出た。
もう、部屋に戻って小春を抱きしめたい気持ちを抑えて、廊下を進んだ。
社の入り口から出ると小春の友人の男が社の戸を叩いていた。
「うるさい。」
「っ!小春を返せよ!」
「返せ?くくっ。お前はふざけているのか?お前らが、自分らの命欲しさに小春を俺に差し出したんじゃないか。それを今更返せと?元々お前らが社を壊したのが原因ではないのか?」
「っ!そ、そうだけど…。今は、後悔してるんだ!小春をお前に差し出してしまった事…。」