幻の眷属
絶望
鬼の姿を小春に見られた…っ。

でも…鬼の姿の俺を抱きしめてくれた…。

一瞬の隙に小春の片腕を取られた。

力いっぱいに引っ張る男。

小春の痛そうに歪む顔を見た瞬間、手を離してしまった。

「小春…小春…っ。」

足元から崩れ落ちた。

「そんな酒呑童子様を初めて見ました。」

顔を上げると、青が立っていた。

「何故…。小春が下界に?あの扉は俺達にしか開けれないのに…。誰が開けた?」

「貴方が閉め忘れたのでは?」

「っ!この…っ!そんな訳あるか…っ!」

「誰かが開けたとしても、ここまで辿り着けるのは無理ですよ。」

「そうだな…。」

俺は、立ち上がり部屋に戻った。

小春の香りが残っている…。

小春の羽織を取って顔を埋めて息を吸い込むと小春に抱きしめられているようだ。

「小春…っ。こは…っ。…っく。」

幸せだった空間が真っ黒の絶望に包まれて、色を失っていく。

俺は、大好きな酒を作る時の閃きも、楽しい気持ちも無くなった。


「酒呑童子様。鍛練のお時間です。」

青が呼びに来た。

「いや、もうしない…。酒呑童子の名ももういらない…。いらないんだ…。」

「なにを言ってるんですか?貴方は次期この村の長になるお方ですよ。」

「それは、幻の眷属に会った時のためだ。もう失ったんだ…。俺の鬼の姿を見て、しかも下界に帰ったんだ。人間の小春には人間界の暮らしがあったんだ…。それを捨てて戻って来てくれるなんて…。可能性は無いだろう…っ。この村の長なんてどうでもいい…。もう名を返す…。」

「酒呑童子様…。」

「もう俺は…。いいんだ…。放っておいてくれ…。」

俺は、小春と過ごした四季の部屋で小春の残像を思い出しては心が苦しくなった。

あのおじいが最後に笑っていたのを思い出した。

あぁ。そうか…。

まだ小春は生きているが、俺達、鬼と人間では寿命の長さが全然違う。

おじいは、相手の人間が死んだのを知ってたんだ。

だから、1人取り残されたおじいは、死ぬのを心待ちにしてた。

理解した。

俺も小春と会えるなら…、一緒にいられるなら死んでも構わない。

これからあと何百年いや数千年、1人でこの空虚を生きなければ、いけないのだろうか…。


どのくらい時が経ったのだろうか…。

部屋で寝転んでいると、微かに小春の気配がした。

「小春!?………な訳ないか…。」

俺はまた伏せた。

『酒呑さん!』

やはり聞こえる!

俺は起き上がり、声が聞こえる方に吸い込まれるよう歩いた。

下界に…社から声がする…。

俺は社に出た。

「そうです!お願いします!酒呑童子さんに会わせて!」

小春…っ!小春がいる!

「もしかしてアイツが執着してた女?へぇ…お前…。」

雑魚が何かを言っている。

想像はつく。

どうせヤラせろとかそういう類の事だろう。

「お前…そんな事してみろ。塵にしてしまうぞ。」

「じょ、冗談だよ…っ。酒呑童子を呼んでたぞ。俺はもう行くから!」

そう言うとその鬼は消えてしまった。

「酒呑さん!」

「小春…。」

小春が俺に抱きついて来た。

この温もり、香り、感触、夢じゃない。

夢じゃない。

俺の姿を見ても戻って来てくれた。

「会いたかったですっ。」

「小春…良いのか?俺の…俺の本当の姿を見たのに…。」

「姿が違っても酒呑さんは酒呑さんだよ。そうでしょ?」

「小春…っ。」

俺は小春を抱きしめた。

「酒呑さん、好き。大好き。」

「え…っ。お、俺も好き。大好き…っ。愛してる…っ。戻って来てくれて…ありがとう…っ。もう、離さないから…っ。」

お互い口付けを交わした。

柔らかい小春の唇の感触。

夢でない事を確かめたい。

近くにいたい。

「もう…無理だ…っ。連れて帰る…っ。」

俺は小春を抱き上げて、四季の部屋に戻り、小春を下ろした。

「酒呑さん…鬼の姿になってくれませんか?」

あの時は森で薄暗かった。

それに今こんな明るい所で見られたら、怖がらせる。

「いや…。でも….また怖がらせる…。」

「お願いします。」

小春の真っ直ぐな視線に根負けした。

「わかった…。」

姿の変わる俺を見つめる小春の目が少し驚きの表情に変わった。

「怖いだろ?やはり…。」

「この目は全部見えてるんですか?」

「いや…。景色が見えているのは真ん中の2つだけ。後は遠くを見る千里眼だったり、心の中を見たり…。殺気を見たり、鬼と人を見極めるのと、鬼力を使う。これが俺の目の能力だ。」

「心の中が見えるんですか?」

「見えるよ…。」

「じゃあ、私の心の中を見てください。」

「無理だ。怖い…。」

ずっとしたくても出来なかった。

「見て下さい。お願い。」

俺は心の目をゆっくりと開いた。

小春の心は怯えなど無く、俺を求めてくれ、心を包み込むような温かさで俺を満たしてくれた。

何より俺への愛情の気配が溢れていた。

「ゔっ…っ。み、見える…。お前が俺を好きって…っ。凄く感じる…っ。」

「好きです…っ。」

「この姿でも好いてくれているのが、わかるよ。嬉しい…。これで、お前はやっと本当に鬼になれる…。」

「鬼に?」

俺は鬼の姿で小春を抱きしめた。

「そう…。全ての俺を受け入れてくれた時に、お前の身体を鬼の身体に変えるんだ…。」

「私も鬼の姿になるんですか?」

俺は小春の耳に唇を付けて囁いた。

「違うよ。お前は人間だから、姿はそのままだ。次、俺の子種をお前に注げば、お前の身体は、鬼の子を孕めるようになるんだ…。」

人間の姿に戻ると、小春はキョトンとした。

「鬼の姿でしないんですか?」

鬼の姿でもしたいのか?

まるで少し期待外れのような顔をしている。

「しないよ。今は。鬼の姿でしたら牙で口付けが出来ないし、身体が大きすぎて、俺のモノを挿れたらお前の肌が裂けてしまう。」

服を脱がして、肌を舐める。

離れていたのは、数日で、少しの間なのに、もう何百年も離れているような感覚だった。

俺はここに小春がいることを、確かめるように、小春の身体を執拗に舐め回した。

「あぁ。やはりお前は美味い。」

小春は何度も絶頂を迎えて、身体の力が抜けた所に俺は小春の中に入った。

「んあっ!あっ、あっ、んっ、ああっ。」

小春の好きな所をゆっくりと刺激した。

「っく。はぁ、はぁ、っく、んっ、んっ、んっ、んっ。ふふっ。浅い所ばかり嫌なのか?腰が動いてる…っ。」

俺を求めている小春が可愛い。

「気持ち良い…っ。でも…っ、もっと奥、欲しい…っ。」

「可愛い…っ。良いよ。いくらでも…っ。ほらっ。」

奥まで一気に挿れると小春は身を捩った。

「あああっ。んあっ。酒呑さんっ。好き…っ。」

小春から好きと聞けるなんて…っ。

俺も小春への溢れるほどの気持ちを言葉にした。

「俺も好き…っ。愛してる…っ。ほら?小春が好きな子袋の奥、突いてあげる…っ。」

奥を突くと小春は身体を仰け反らして、快感から逃げようとした。

俺はそれを逃さないように上から押さえつけた。

「もう無理っ!イクッ。イッちゃう。あああっ。」

「っく。はぁ…っ。はぁ…っ。凄い締め付け…っ。可愛い…っ。もっと気持ち良くなろう。」

腰止まらない…っ。

加減が出来ない。

激しく腰を振った。


「んっイクッ。出すよ…っ。小春…っ。これ出したら、小春はもう戻れない…っ。良いの?」

「うん。…っ。出して…っ。酒呑さんとずっと一緒にいたいの…っ。」

嬉しい…っ。

口付けを交わしながら俺は小春の奥に子種を注いだ。

「お腹…っ。熱い…っ。」

すると小春の腹の中が明らかに俺の形にピッタリと合うように締め付けて、小春の中が更にドロドロになった。

「あぁ…っ。俺の形にピッタリとハマってて…っ。気持ち良い…っ。人間の時も気持ち良かったけど、俺の眷属のだってわかるくらい気持ち良い…っ。小春は?」

「気持ちいい…っ。好き…っ。酒呑さんっ!」

「もう…これからは俺の子種で孕むよ?」

小春の身体の向きを変えて、後ろから激しく突いた。

先ほどより奥に入り、鬼にしかない感じる場所を突いた。

そして、鬼の姿になると体も大きくなり、俺のモノも身体に合わせて大きくなった。

大きくなったモノを小春の感じる場所に擦り合わせ激しく突いた。

「頭おかしくなるぅ。無理ぃ。」

「感度が上がるからだ。俺も気持ち良いよ…っ。人間の時のも好きだったけど、この身体も大好き…っ。ほら。見て?俺が鬼の姿になっても裂けないだろ?大丈夫。もうお前は鬼の身体になったから、ちゃんと俺に順応している。」

舌を口の中に侵入し、喉の奥まで舐め回す。

腰を激しく揺らした。

後ろから身体を持ち上げ、立った小春の身体を浮かせて中に俺のモノを挿れた。

それから何度も激しく人間の姿だったり、鬼の姿だったり、小春と交わり、愛を確かめ合った。

この俺が愛などを信じるなんて思わなかった。

俺は小春と愛し合う事の幸せと失うことの怖さを身をもって知った。


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