幻の眷属
私は戦いが苦手だった。

喧嘩はいつも負けてバカにされていた。

そんな時、年頃だという理由で村の若者恒例の酒比べと力比べに参加させられた。

「あ…これはまだ美味い。はぁ…。酔ってきた…。もう無理…。」

私はその場に倒れた。

起きると力比べが始まった。

森に隠れていよう。

私は、森に隠れた。

すると大きな鬼が他の鬼と戦っていた。

その鬼は他の鬼をなぎ倒し残虐までも相手をいたぶっていた。

「あんなのに捕まったらひとたまりもない…。ここから離れよう。」

そっと離れようとすると、落ちている木の枝を踏んでしまい音を立ててしまった。

「んん?そこに誰かいるのか?」

ヤバい。

そして呆気なく見つかってしまった。

「はい!1匹みーっけ!」

そう言うと、いきなり殴られた。

それだけで気を失いかけた。

「こ、降参だ!もう…戦えない…。」

「ははっ。降参?そんなモンねぇよ!」

「この戦いの約束事にあるはずだ!降参を言われたら、対戦を止めなければいけないと。」

「誰もいねぇんだから、そんなの聞いてる奴いねぇんだよ。お前、鬼のくせに弱いんだよ!だから嫁も俺に取られるんだよ!けけけっ。」

やはりコイツはそういうタイプか。

こんな奴には正論は通じない。

何本もある足で蹴り殺される。

あぁ。もう無理だ。死ぬ。

ザシュ!

目の前に赤鬼が現れた。

「戦いにおいて、確かに降参は無い…。ただ…。これは村の長を決める戦い。という事は、村の民を守るのも長の役目だろ?」

目の前に現れてくれた鬼。

そうだよ。

これは戦いを楽しむとかそういうのじゃない。

長を決める戦い。

だからただ強いだけじゃダメ。

こういう考えの鬼もいたんだ…。

すると赤鬼はあっという間に、俺を襲ってきた鬼を木のツルで罠を作り、木に縛りつけた。

「ひ、卑怯者!堂々と戦え!」

「俺は、無意味な戦いはしない。お前、強いんだろ?だったら、ここで死なずに、もっと強くなれよ。こんなのに引っかからないくらいに。」

「うるせぇ!この野郎!」

黒鬼はツルを引きちぎり襲いかかって来た。

赤鬼は、背後が崖になっている所に逃げた。

もしかして…。

あそこ後ろ崖だろ?

黒鬼は目の前しか見ないだろう…。

そのまま突進して…。

バランスを崩した所で赤鬼は黒鬼の背中を押した。

「強靭な肉体があればギリギリ助かる。お前の身体はどうなんだろうな。」

コイツ頭良い。

私みたいな鬼でも勝てるんだという事を見せてくれたのか。

去ろうとする赤鬼に慌てて私は付いて行った。

「あの…さっきはありがとう。あれ…わざとだったんだろ?」

「何が?」

「黒鬼を崖に落としたの。アイツが襲いかかって来て避けたフリしてたけど、崖の方に誘ってたんだろ?突っ込んでくる事を予想して…。」

「いちいち言わなくて良い。だったら何?」

「わ、私の主人になってくれないか?」

そうこの鬼。

こういう鬼に俺はなりたい。

無意味な戦いはせず、ちゃんと周りを見れる。

こんな鬼が長になるべきだ。

俺はこの鬼を酒呑童子にさせたい。

「は?何、言ってんだ?」

「君に惚れたんだ。」

「気持ち悪い。」

「そういう意味じゃないよ!男としてだよ!」

「わかってるわ!そんなの俺は望んでいない。俺は、自分の欲望にしか興味ない…。」

「欲望って?教えてよ。」

「嫌…。」

「教えてくれないと付き纏うよ?」

私がニコニコと笑うと赤鬼は大きなため息をついた。

「俺は幻の眷属に会いたいんだ。ずっと探してる。」

「幻の眷属?」

「あぁ。会ったら一瞬でわかるんだと。自分の心が幸せに満たされるらしい。」

「へぇ。良いな…。私も会ってみたい…。」

「そうだろう?俺は絶対に会う!」

可愛い一面もあるんだな。

「でもさ…。もし、会えたらさ…。他の奴らに取られるかもよ?私の嫁みたいに…。とういうか、絶対取られるよ。取られない方法は一つだけ。酒呑童子になって、長になれば、女は独り占め出来る。」

そう私が言うと赤鬼なのに青くなった。

「確かにそうだ…。仕方ない…。めんどくさいが、それでいこう。」

「私も手伝う。どうか私を君の右腕にして欲しい。」

しばらく考えて赤鬼は了承してくれた。

「わかった。じゃあここの長になるぞ。その代わり、もっと強くなれ。」

「君が稽古を付けてくれるんだろう?」

「調子が良いな。仕方ない…。わかった。」

おまけに優しい。

「ありがとうございます!主人。早く酒呑童子様と呼ばせてくださいよ。」

「お前もな。」

それから私は、赤鬼様に稽古を付けてもらい、戦い方のコツなども教わって、どんどん強くなった。

「あの…赤鬼様。その幻の眷属様とは、もちろん交尾するんですよね?貴方が下手だったらどうなります?」

そう…。私の嫁もそうだ。

私が下手だと罵り他の男を求めてもう私の所にはほぼ来ない。

「っ!鍛錬…。」

「しといた方がよさそうですね…。」

主人に何かあったらいけないので、主人と女が交わっている時は、部屋の隅に待機している。

主人のモノは大きく女は皆、泣いて喜んだ。

女が善がっていても何も感じない。

退屈…。

主人は女の身体のどこが感じるのかだいたい把握できたようだ。

それから毎回の力比べで私達は勝ち上がった。


そして遂に10回目の力比べと酒比べにも主人は勝った、

私も主人の稽古のおかげで2位を取った。

遂に主人が酒呑童子の名を授かった。

後は現在の酒呑童子様を倒して、向かってくる他の鬼も倒して一位になり続けないといけない。

あの主人でも現在の酒呑童子様に、毎回負けている。

そんな日が続いたある日…。

主人が下っ端がするような仕事の下界の社の見守りから戻っできた時にいつもと違う様子だった。

「主人?どうかされましたか?」

「み、見つけた…かも…。」

「何を?」

「幻の眷属…。」

「本当に?」

私も主人から話を聞いてサッと書物を読んだが、私の見解は出会うのは無理という事だった。

そして、主人はせっせと下界の者が村に来た時に清めるその幻の眷属専用の白の部屋を作り、下界の社に祭りの幻想を作った。

そして数日後…。

主人は女を連れて白の部屋に入った。

主人が部屋から出て来た。

「あ、青…。俺は幸せだ…。本当にいたんだ…っ。」

こんなに嬉しそうにしている主人は初めて見た。

それにしても主人からは、とてつもなく良い香りがしている。

これが幻の眷属の残り香か…。

確かにこんなのが間近にいたら骨抜きにもなる。

主人は眷属と婚礼の儀を交わした。

そしてその人間が鬼になるようしているのだが…。

「薬を使わないのですか?」

「使わない。小春にそんな物使いたくない。」

「小春様…。あぁ。人間は名前があったのでしたね。でも薬を使わないと、子を宿せませんよ?」

「わかってる…。それでも薬は絶対使わない。」

「なんと…。」

そこまで、この屈強な鬼を骨抜きにしたのか…。

しばらくすると白の部屋から主人が女を抱いて出てきた。

まだ鬼になっていない者を白の部屋から出してはいけない掟がある。

しかし主人は小春様の心の方が大事だと言う。

私は先回りをして四季の部屋に必要な物を入れて、2人が来るのを待った。

主人がゆっくりと小春様を抱きながら廊下を歩いて来た。

すぐに壊れてしまう宝物を抱えるように…。

いつも女を攫う時、米俵を担ぐように攫ってくるあの鬼が、あんな抱き方が出来るのか…。

それが遠くから見えた時に驚いた点。

そして…。

近くに来た時に小春様と目が合った。

その時…。

時が止まった…。

頭のてっぺんから足のつま先まで雷が落ちたような感覚。

心臓が音を立てて高鳴り出した。

何で?

今まで女を見ても、こんな事一度も無かったのに…。

私の全てである主人の全ての人だから?

私は部屋に入る酒呑童子様を見送った後、現在の酒呑童子様にお目通りした。

「報告致します。我が主人の酒呑童子様がまだ鬼になっていない女を…ご自身の自室に運ばれました。」

「は?それはダメだろう!薬を使えと言え。」

そう言うのは、酒呑童子様の3番目の側近の鬼だ。

「その女は酒呑童子様が長年探しておられた幻の眷属です。ですので、そういった手荒な事はしたくないとの事です。」

「そんなワガママ…。」

すると酒呑童子様らゆっくりと口を開いた。

「あの鬼もそうだった…。アイツの好きにさせてやれ。その代わり、ちゃんと仕事はしろと伝えておけ。あと、監視は必要。青鬼、ひと時も目を離すな。」

「かしこまりました。」

私は、現在の酒呑童子様の部屋を出て、主人の部屋に戻った。

主人は本当に嬉しそうな顔をして、小春様に部屋の一つ一つを案内していた。

近づき過ぎず、離れ過ぎずの所で2人を見守る。

「主人のあんな顔見た事ない…。あんな顔するんだな…。」

それに小春様…。

見てると胸が高鳴り体温が上昇する。

私の細胞が、心が、頭の中が言ってる。

認めてはいけない事を…。

『あのお方が、私の幻の眷属』だと。

主人が探し求めた人だから私もその気になっているんだ。

そう思うようにした。

私は書物部屋で幻の眷属について調べた。

その中にあった…。

幻の眷属は1人だけの眷属ではない。

その鬼にとっては運命の相手でも、姫は運命の相手をいつくも持っている。

5人から幻の眷属と言われた姫もいる。

「だったら私の幻の眷属は…小春様?」

その考えはストンと心に落ちた。

あぁ。そうか…。

「何とも酷な事を…。」

これが他の鬼ならこんなに悩まないのに…。

ずっと目で追ってしまう…。


四六時中、監視をするのだが、こんな事初めてだ。

前に主人の情事を部屋の隅で見張っていた時はこんな事なかった。

目が離せない。

多分、小春様は、私の事は気づいてない。

主人に組み敷かれている小春様を眺めていると、私が主人だったらと考えてしまう…。

しかも酒呑童子様は小春様の身体を隅々まで舐め回している。

主人のこんな姿を見た事もなかった。


「酒呑さんっ!あっやっあっイクッ!イッちゃう!」

「一緒に…っ。俺も…っ。イクッ!」

……え?

下半身が濡れてる?

嘘だろ…っ。

2人がイッたと同時に私もイッた?

信じられない…っ。

今までこんな事なかった…。

それから毎回、主人と小春様が情事を重ねる度、私は側についた。

そして毎回、お二人が果てる時一緒に果ててしまっていた。

主人は酒呑童子の仕事を休み、一日中、小春様に夢中になり、離れようとしない。

「主人様、そろそろお勤めに出て下さい。」

「無理…。小春と離れたくない…。」

「はぁ…。いい加減にして下さい。酒呑童子様の名前を剥奪されますよ。」

「ゔっ…。」

「剥奪されれば、小春様も他の鬼に取られてしまいますよ。」

「そんな事はさせない…。」

「わかっているんでしょう。いずれ議題に出ますよ。」

「わかった!わかったから…。小春に説明してから行くから。」

「はい。」

そう言っても主人はまた離れがたいと小春様を何度も抱き、小春様が気を数回失ってようやく小春様から離れた。

「準備が出来た。行く。ただ、1人にしておけない…。やはり…。」

「私が残ります。」

「わかった…。頼んだ…。」

主人は、部屋の外に出て行った。

気を失っている小春様をじっくり見つめた。

「あぁ。こんなに汗をかいて…。主人との情事は気持ち良かったようで…。身体を綺麗にしますね…。」

桶に湯と手拭いを入れ用意した。

「まずは、顔から…。」

汗でベタベタになった顔を拭き取る。

指に小春様の唇が当たる。

俺は指で唇を撫でた。

自分の指を舐めてみた。

甘く頭の芯が痺れる。

無意識に身体が動き、目の前に小春様の唇がある。

このまま唇を合わせたい。

ダメだ。

必死に我慢した。

きっとこのまま唇を合わせてしまったら、もう止まれない。

俺は大きく息を吸って吐き、心を整えた。

緩く結んだ帯を取り、小春様を裸にする。

小春様の身体を目に焼き付けながら、手拭いで、身体を綺麗に拭き取る。

いつも主人の身体で見えなかった陰部もじっくり眺めた。

真ん中の穴からは主人の子種が溢れて下に溢れ落ちていった。

きっとここで、私が抱きしめてしまうと、匂いで主人にバレてしまう。

綺麗に足や手を拭いていく。

あのお方が、小春様の身体中を舐め回している気持ちがよくわかる。

主人の眷属でなければ、もうきっと我慢できず、襲っていただろう。

新しい布団に新しい着物を着せて小春様を寝かせた。

抱き上げる時に少しだけ、力を込めて抱きしめた。

「あぁ…。堪らない…っ。ダメだ!ダメだぞ!これ以上は…。」

私は何とか小春様を離して布団に寝かせると部屋を出た。

そして、廊下で島分のモノを出して先ほどまで小春様を拭いていた手拭いを自分のモノに巻きつけて扱いた。

「んっ、あっ、小春様…っ。小春様…っ。んあっ!んっ、うっ…っ。」

今までにないくらい興奮している。

手拭いの中に白濁をぶちまけた。

まだ自分の身体に残っている残り香で何度も何度も手拭いに白濁を出した。

私は、井戸に行き、頭から水を被った。

小春様の残り香も無くなってしまった。

心にぽっかり穴が空いた感じ…。

またすぐに小春様が欲しくなる。

「本当に幻の眷属とは恐ろしい…。でも心が満たされる。」

それから毎日、主人がいなくなると、小春様の身体を綺麗にした。

そんな日が続いたある日、私は酒呑童子様に呼び出しを受けた。

「青よ。アイツの眷属はどうだ?薬を使っていないのだろう?鬼になりそうか?」

「いえ…。まだ、そこまでは…。」

「そうか…。だろうな…。今度、アイツが下界の社に行くとき、眷属を外に出してみろ。」

「え?それでは逃げてしまうのでは?」

「あぁ。そうかもな…。でも、戻って来たら、受け入れたという事だろ?もし戻って来なければそれだけの関係だったという事だ。」

私は主人が下界の社に行ったのを見計らって、小春様がいる扉を開けた。

下界に下りるには、私は小春様が迷わないように、一本道の廊下を鬼術で見せた。

小春様は下界に後を追い降りられた。

影からこっそり眺めると、主人と男が小春様の腕を引っ張り合っていた。

そして、主人が手を離した。

すると男は小春様を抱き上げ山道を下って行ってしまった。

どうして?あのもうすぐ鬼に覚醒するであろう男から奪うのは容易かった筈なのに…。

何故?


主人はその場に崩れ落ち泣いていた。

嘘だろ?

って泣きたくもなるか…。

千年と数百年探し求めてた相手が見つかり、手に入れた途端に奪われたのだから…。

しかも今、鬼の姿…。

どうなるんだろう…。

しばらく見守っていると主人はヨロヨロと立ち上がり、こちらへ戻って来た。


私は急いで、主人の部屋に戻り、定位置に着いた。

私も小春様と離れるのは悲しかったが、主人の姿を見たら我慢できた。

「おかえりなさいませ。」

いつもだったら返事をしてくれるのに、主人の目は光を失って無反応だった。

そして、今先ほどまで小春様がいた部屋に入ると、小春様の羽織を抱きしめ泣いていた。

このままじゃこのお方、死んでしまうのではないか?

それとも少ししたら落ち着くのだろうか…。

私は見守る事しかできなかった。

私のせいで…とも思ったが、いつまでも、鬼にならずにいる者を村に居させるのも掟に反するのも理解していた。

小春様のお気持ちはどうなんだろう…。

私の見る限りでは、人間の姿では心が通じているように見えていたが…。

それからの主人は死んだ屍のようだった。

あれだけ強く聡明だった姿の面影などかけらも無く、大好きな酒も作らなくなったし、飲む事も辞めた。

数日経った頃、鬼に覚醒した人間の男が白の部屋に入って来た。

「小春を出せ!」

何度も怒鳴っている。

覚醒する為に女を抱かせるのだが、鬼らしく欲望剥き出しで出される女全て抱いている。

欲望を全て吐き出さないと、鬼にはなれない。

コイツよほど溜まっていたんだろう。

人間は理性で欲望を押さえているらしい。

それを全て満足させて解かすのはなかなか大変な事だ。

コイツは色欲が強いらしい。

女と四六時中まぐあっている。

私は最近、理性を手に入れたというのに…。



主人は小春様の羽織を抱きしめ部屋に篭っている。

さて、どうしたものか…。

このままあのお方は潰れてしまうのか…。

そんな時だった。

いきなり主人が飛び出して下界の方に走って行った。

そして…。目の前には小春様を抱きしめて帰ってくる主人がいた。

「本当に!?鬼の姿を見て戻って来た…。」

胸が高鳴った。

2人が部屋に入った後に自分も部屋に入ると、小春様は鬼の姿になった主人を愛おしそうに抱きしめている。

私は信じられない気持ちで2人を眺めていた。

廃人のようになっていた主人がまた目を輝かせて小春様と口付けを交わしている。

私は、自分のした事を少し後悔していた為、ホッとした反面、2人が羨ましく思う気持ちと妬ましく思う気持ちが生まれている事を気付かないフリをした。

そうして無事に小春様は鬼の子を妊れる身体になった。

初めて言葉を交わす。

小春様が私の目を見て私に話しかけている。

心臓が痛いくらいに鳴っている。

本来であれば、医術師だけが診れば良いのを私も同席した。

私は恥ずかしそうに赤く顔を染めた小春様の顔と身体を目に焼き付けた。

小春様に鬼の生態を説明した。

これからのお世話をする事もお伝えすると、『葵』という名前を小春様から頂いた。

しかも主人の奥方なのに、様で呼ぶなと言う。

まだ、主人でさえ小春様から名前を頂けていないというのに、それを私が頂いた。

小春様の初めてを頂いた。

私は、いつも通り身体を拭く。

「あ、あの…。自分で出来ます。」

「いいえ、いつも気を失った小春さんの身体を拭いておりましたので…。」

意識が無い小春さんの身体を拭くのと全く違い、私の手の動きに反応をくれる小春さんが可愛らしくて堪らない。

ピクピクと身体を揺らして、真っ赤な顔で甘い声を我慢している小春さんを見ているともっとしたくなる。

もう全てを見ているのに恥ずかしそうに胸や陰部を手で隠す小春さんを言いくるめて、反応を見ながら身体を隅々まで拭いた。

「葵さん、ありがとうございました。スッキリしました。」

笑顔を向けられて身体が熱い。

私は、小春さんに頭を下げて、部屋を出るといつものように、手拭いで自分のモノを扱いた。

「小春さん…っ。小春…っ。もっと呼んで…っ。葵って。私にくれた名前…っ。呼んで…っ。んくっ。イクッ…っ。」

それから毎日、私は小春さんを起こして反応を見ながら身体を拭いた。

そのためか、小春さんは、私と普通に話をしてくれるようになった。



しばらくして小春さんは主人との赤子を身籠った。

嬉しいはずなのに…。

苦しい…。

私との子も身籠って欲しい…。


小春さんは一ヶ月後、子を産んだ。

ある日、小春さんは、子供の紅丸様を抱き、散歩に出かけた。

私はそのお供で横に歩く。

まるで、本当の眷属になったようだ…。

すると鬼が現れた。

飢えた少し前に人間から鬼に覚醒した鬼。

鬼の姿にはなったようだ。

小春さんを襲って来た為、手を縛り上げる。

そして鬼を白の部屋に戻すと女とまた交わった。

「すみません。怖がらせて…。」

「大丈夫。守ってくれてありがとうございました。」

「さぁ、こちらへ。」

小春さんの腰に手を置き、私はわざとぬかるみの道に案内した。

手を差し出すと手を握ってくれた拍子に抱きしめた。

ずっとしたかった…。

「え?」

「このまま少しだけ…。前にお話しした通り、酒呑童子様が私の全てです。あのお方の幸せは私の幸せ。だから酒呑童子様が命より大事にしていらっしゃる貴方様は私の全てでもあります。主人の大切な方にこんな気持ちを抱くなんて、絶対いけない事なのに…。私は時折、貴方が欲しくて仕方なくなる時がある。名を頂いた時もどれほど嬉しかった事か…。酒呑童子様ではなく私が初めてを頂いた。それだけで私は貴方と繋がっている気になっている。その事を知って欲しい。」

耳元で囁くと小春さんは、真っ赤な顔になった。

「ここはぬかるんでいます。危ないですよ。こちらへ。可愛らしい顔をされる。私に犯して欲しいのですか?」

「ち、違います!」

「しませんよ。そんな事。今でもどんな罰を受けるか…。」

匂いで私が小春さんを抱きしめた事はバレるだろう。

「そんな…。」

罰を受けるという言葉に小春さんは顔を青ざめさせた。

「だから、この事は2人の秘密にしておいて下さい。あー…。貴方様も。」

紅丸さんが、泣き出して乳をやる小春さんを後ろから抱きしめた。

「ちょっと!葵さん!?」

「もう貴方は、私の気持ちを知ってしまった…。遠慮はしませんよ?」

そう…。

ずっとこうしたかった。

貴方を見たあの日から…。

「だ、ダメです!離れて下さい!」

「ははっ。本当に貴方は可愛らしい。真っ赤な顔で…気を抜くと、このまま押し倒してしまいそうになる…。」

紅丸さんが寝て腹を満たして眠ると、小春さんはすぐに胸を隠した。

「くくっ。本当に可愛い…。襲われると思いましたか?」

「胸をガン見されて、そのままでいるなんて出来ません!」

男として意識してくれている。

「おや。意識してくれているんですか?嬉しい事ですね。」

「そんなんじゃありません!」

怒った顔も可愛らしい。

私は小春さんにちょっかいをかけて怒らせて、じゃれあった。

そして耳元で毎回、主人とのまぐあいをしている時に側にいるとわざと伝えた。


すると小春さんは、主人との情事中に私を見てきた。

ニコッと笑って見せると小春さんは真っ赤になった。

私を意識している。

もっと意識して?

無意識に私は、自分のモノを取り出して扱いてしまっていた。

すると主人は何かを感じ取ったらしく、小春さんと繋がりを見せつけるように、私の目の前に来た。

小春さんが、私の肩を掴んだ。

口付けしたい…っ。

顔を近づけるとスッと離れてしまい、目の前で、主人が口付けを交わした。

あぁ。

そうか…。

主人に私の気持ちがバレているのか…。

小春は俺のだと私に見せつけているのか…。

でも…私も諦められない…。
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