歩く冷蔵庫先輩が推し絵師でした~秘密のレッスンはじめます~
わかるけれど。

「わざわざ私のために描いてくれたんですか」

『はい。
頑張ってる白石さんにご褒美です』

先輩にとっては何気ないことなんだと思う。
けれど私にとっては、憧れの推し絵師であり、尊敬する先輩であり、――私が恋をしている男の人が、私のために描いてくれた絵なんてどうしようもなく嬉しくて、胸を温かいものが満たしていく。
おかげで不覚にも泣きそうになった。

「あ、ありがとう、ございます」

一生懸命、湿る声に気づかれないように努力をする。

「あの、依頼料はおいくらくらいお支払いすれば」

この絵になら相場の倍、いや十倍出してもいい。

『いりませんよ。
白石さんにご褒美だって言ったじゃないですか』

「え、でもそんな。
ダメですよ」

『僕が、僕の意志で描いたんです。
だから依頼料はいりません』

「……はい。
ありがとう、ございます。
大事にします」

頑なに払おうとすれば先輩を困らせるだけだとわかっていた。
ありがたく、好意は受け取ろう。

先輩が用意していた背景に私のイラストが乗せられ、彼が少し調整すると初めからそうだったかのように馴染んだ。

「凄い……」

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