歩く冷蔵庫先輩が推し絵師でした~秘密のレッスンはじめます~
笑顔を貼り付けてふたりの会話を聞いていた。
そもそも私は先輩に片想いをしているだけで、先輩には関係ない。
なのに私は先輩にとって特別なんだって自惚れていたツケが回ってきたんだ。
安喜さんはデザインを引き受けてくれ、失礼のないようにだけ気をつけて必要最低限の会話だけで終えた。
明日には送ってくれると約束してくれ、間に合いそうだと安心はした。
けれど先輩が私のために表紙を描いてくれた、初めての共同作業だと天にも舞い踊る気分は、あっという間に真っ黒に塗りつぶされた。
このところ同人誌の締め切りに追われて忙しかったからと言い訳し、絵のレッスンはお休みにしてもらった。
今、先輩と仕事以外で話す気になれない。
「素敵な本、だけど」
印刷所から届いた本を見ながらため息が漏れる。
先輩と私が力をあわせて作った本になるはずだった。
なのに別の女が混ざっている。
「いっそ、全部処分したい……」
しかしそんなことはできないのもわかっている。
本を処分したりしたら先輩が不審がるだろう。
「はぁーっ……」
重いため息をつき、聞いていた安喜さんの連絡先にメッセージを送る。