歩く冷蔵庫先輩が推し絵師でした~秘密のレッスンはじめます~
第二章 秘密のレッスン
灯守先生に絵を教えてほしいと頼んだ翌日。

「朝倉先輩」

仕事で相談事があって彼の元に行き、机の上で目が留まる。
そこには二日酔い用のドリンクの空き瓶が置いてあった。

「なんですか」

私を見上げながら視線に気づいたのか、彼はさりげなく瓶を掴んでジャケットのポケットに入れた。

……酔ってたの知られるの、嫌なんだ。

そう気づいて顔がにやけそうになるが、これからの対決を思い気を引き締める。

「あの。広岡(ひろおか)さんがどーしてもこの一文は入れたいって言うんですけど」

持っていたタブレットの画面を朝倉先輩に見せる。
広岡さんとは宣伝広告部の人だ。

「【一本飲めば翌朝すっきり!】?
ああ、僕が赤を入れて返したコピーですね。
根拠のデータが揃ったのならそのままでいいですが」

淡々とした彼の説明を聞きながら、背筋がだんだんと冷えていく。
頼まれたのは睡眠の質をサポートする飲料の、新しいキャッチコピーだ。

「データは……ない、です」

おそるおそる、きっとバッサリ切り捨てられるなとわかっていながら切り出す。

「ないのなら認められません。
却下です」
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