歩く冷蔵庫先輩が推し絵師でした~秘密のレッスンはじめます~
まだなにかお小言があるのかとこわごわ振り返る。

「今日の夜はあいていますか」

朝倉先輩が大きく手を広げ、覆うようにして上げた眼鏡がきらりと光った。

「はい!
あいてます!」

ついさっきまで落ち込んでいたのはどこへやら。
あっと今に気持ちは上がっていく。

「では、そういうことで」

「わっかりました!」

敬礼した私を見る、眼鏡の向こうの目は冷たかったが気にならなかった。



今日も昨日と同じ居酒屋で朝倉先輩と向かいあう。
ただし昨日と違うのは、彼の前には烏龍茶が、私の前にはレモン酎ハイが置かれているところだ。

「飲まないんですか?」

「飲むとまともに話ができなくなります」

真面目な顔で言って彼は一口、烏龍茶を飲んだ。

「あー……」

昨日の、饒舌で俺様な朝倉先輩……ではなく灯守先生を思い出す。
あれは先輩としては不本意だったとか?
それか、二日酔い用のドリンクを飲んでいたみたいだし、明日の朝が怖いか。

「まあ、いいですケド」

グラスを傾け、レモン酎ハイをごくごくと喉に流す。
この様子では私が頼んだ絵の先生はイエスなのかノーなのか判断がつかない。

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